2. 品質の確保・向上は、「品質保証規則」で集大成

1961年(昭和36年)に導入されたTQC活動の定着期(1964〜65年)に、各部門がすべきことを「品質保証活動一覧表」として明文化し、それがベースとなって、デミング賞実施賞受賞の年(1965年)に「品質保証規則」が制定された。

この中でトヨタの品質保証の定義を次のように定めた。1つに、品質保証とは、お客様にとって商品の品質が満足であり、信頼でき、しかも経済的であることを保証すること。2つに、品質保証活動とは各段階の品質に関係ある業務について、定められた保証責任者がそれぞれの保証事項を保証することにより品質保証に関する会社方針もしくは諸計画を達成する活動をいう。3つに、保証事項とは各ステップの保証責任者がそれぞれ次のステップに対して保証すべき責任のある事項をいう、とした。

1つめは、製品の品質の「良し悪し」はお客様が判断するものであり、「お客様の直接の声」が当社の品質保証の原点になっている。また、「・・・商品の品質が満足であり、信頼でき、しかも経済的であることを保証すること」にあるように、商品の品質は当然として、さらに「お客様との信頼関係」「使用時の経費・燃費といった経済性」をも含めて「品質保証」と定義している。

2つめの各段階とは、製品企画‐製品設計‐生産準備‐購買‐号口生産‐検査‐販売・サービス‐品質監査の8ステップに大別し、それぞれの段階で責任者が品質を保証することとした。これらの8ステップのうち製品企画、製品設計、生産準備、号口生産、購買、販売・サービスの各ステップは、それぞれの段階で品質を造り込む活動であり、検査は品質を保証する活動、品質監査は全段階の活動の適正さを保証する活動によって、品質保証は達成される。

すなわち、工程の各ステップごとに、順次、次のステップに対して品質保証していくことにより、最終的にお客様に対して保証するという考え方で、全社の品質保証の原点とした。このことは、部間の機能的な連携を図ることが目的で、「品質保証」という機能(品質機能)で各部門が横に連携していくというもので、この時、「品質」に関する会社としての最高決定機関として、「品質機能会議」が設けられ、現在もその位置付けは変わっていない。

この「品質保証規則」の精神は「全員が品質保証の責任者(全員が当事者)」「お客様第一・品質第一を達成するために1人ひとりが仕事の質向上(方法論としての自工程完結の考え方)」であり、1人ひとりに「お客様のために品質を最優先する風土構築」を求めている。

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自工程完結は、TQC(Total Quality Control)導入期の1962年(昭和37年)第3回品質月間で全従業員に配布されたパンフレットの標題に「品質は工程で造りこもう」とあり、ここに品質は工程で造り込むという「自工程完結」の言葉が誕生した

トヨタの「品質保証」の定義

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トヨタの「品質」の定義

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