商品物流
完成車物流
徹底したムダ排除は製造工程からスタートしたが、1982年(昭和57年)の工販合併前後に、販売部門における物流過程に着目し、トヨタ生産方式に基づく改善が進められた。社内組織として工販合併時に物流管理室を設置し、完成車両の国内輸送を司る国内車両物流部、海外輸送の海外車両物流部および補給部品・用品の部品物流部と「物流部門」を構成し改善を進めた。1984年に生産を開始したNUMMIに始まる生産のグローバル化、国内販売店との完成車輸送に係わる物流改善へと範囲を拡大して改善の取組が実施されている。
また、環境問題への取組みも積極的に進められ、1998年(平成10年)、全社の委員会「トヨタ環境委員会」の下部組織「生産環境委員会・生産環境工場分科会」に参画し、輸送CO2の削減および梱包資材使用量の削減を柱として取組みに着手した。最近では、2006年にモーダルシフトのひとつとしてJR鉄道を活用した生産部品の搬送を開始した。関東自動車工業株式会社岩手工場への生産用部品の輸送について、名古屋南貨物駅と盛岡ターミナル駅(約900km)を1日1往復する専用列車「トヨタロングパスエクスプレス」の輸送が始まり、年間2,300t(約35%)のCO2が削減された。
完成車両のお客様への納車は、創業時では「自走」、つまり一台一台を運転してお客様にお届けしていた。1935年(昭和10年)11月21~22日にかけて東京で開催されたトヨダG1型トラックの発表展示会へは、この「自走」で車を運んだ。その後完成車輸送は、鉄道、キャリアカー(積載車)、船などと輸送方法が変化してゆく。海外への輸送手段は船であるが、この輸送にも、安全・確実を念頭に置いた様々な工夫と努力が払われている。
西暦 |
和暦 |
月 |
沿革 |
---|---|---|---|
1951 |
昭和26 |
10 |
トヨタ自販車両部に車両受渡課 発足 |
1952 |
昭和27 |
12 |
トヨタ陸送(株)(現 トヨタ輸送(株))設立 |
1957 |
昭和32 |
4 |
横須賀ヤード開設 |
1959 |
昭和34 |
4 |
|
5 |
元町ヤード開設 |
||
1961 |
昭和36 |
12 |
海上輸送を開始 |
1962 |
昭和37 |
11 |
|
1964 |
昭和39 |
3 |
トヨフジ海運(株)設立 |
5 |
国内海上輸送基地(現 名港センター)完成 |
||
7 |
福岡・塩釜港にモータープール完成 |
||
1966 |
昭和41 |
1 |
旬間オーダーシステム稼働 |
10 |
貨車輸送を開始 |
||
12 |
高岡ヤード開設 |
||
1969 |
昭和44 |
4 |
販売店配車システム稼働 |
1970 |
昭和45 |
10 |
専用貨車基地(上郷センター)完成 |
12 |
堤ヤード開設 |
||
1971 |
昭和46 |
2 |
トヨタ自販車両管理部発足 |
1972 |
昭和47 |
2 |
横浜事業所開設 |
8 |
衣浦埠頭開設 |
||
1974 |
昭和49 |
3 |
デイリー変更システム稼働 |
3 |
|||
1979 |
昭和54 |
1 |
田原ヤード開設 |
2 |
オーダーシステムを改善 |
||
1982 |
昭和57 |
7 |
工販合併に伴い、国内物流管理部(現 車両物流部)発足 |
1983 |
昭和58 |
4 |
工販合併に伴う見直し(車両付属品搭載のインライン化) |
8 |
工販合併に伴う見直し(品質点検の重複作業廃止) |
||
9 |
完成車ワックス塗布選択制の導入 |
||
1984 |
昭和59 |
12 |
貨車輸送の廃止 |
1986 |
昭和61 |
1 |
車両の受発注に販売店とオンラインシステム稼働 |
3 |
東京直営販売店への物流改善 |
||
1987 |
昭和62 |
1 |
新車物流情報システム稼働 |
5 |
船積港の衣浦集約化完了 |
||
11 |
東富士中継輸送開始 |
||
1988 |
昭和63 |
12 |
内航船着地港の拡大(松山港) |
1989 |
平成元 |
1 |
関西向け中継輸送(勝竜寺ヤード)試行開始 |
2 |
内航船着地港の拡大(2月 防府港、7月 大分港、10月 釜石港、11月 宮崎港) |
||
1990 |
平成2 |
1 |
山陰向け中継輸送(勝竜寺ヤード)試行開始 |
2 |
日産自動車(株)との相互乗入れ輸送本格化 |
||
12 |
ダイハツ工業(株)との相互乗入れ輸送試行開始 |
||
1991 |
平成3 |
5 |
第16とよふじ丸就航 |
12 |
豊昇丸就航 |
||
1992 |
平成4 |
3 |
輸入車輸送開始(フォルクスワーゲン・アウディ車、8月 TMM(現 TMMK)(米)製「セプター」) |
12 |
トヨタ自動車九州(株)配車・輸送開始 |
||
1993 |
平成5 |
9 |
関東自動車(株)岩手工場配車・輸送開始 |
10 |
他社との共同輸送拡大(新規にマツダ(株)) |
||
12 |
トヨタ車体(株)いなべ工場配車・輸送開始 |
||
1994 |
平成6 |
10 |
他社との共同輸送拡大(新規に富士重工業(株)) |
6 |
九州港拠点、箱崎から香椎へ変更 |
||
4 |
他社との共同輸送拡大(新規に本田技研工業(株)) |
||
1995 |
平成7 |
3 |
新潟向けJR輸送再開 |
4 |
TMM(米)製「アバロン」 配車・輸送開始 |
||
5 |
日野自動車(株)・ダイハツ工業(株)OEM車 配車・輸送開始 |
||
12 |
GM「キャバリエ」配車・輸送開始 |
||
1997 |
平成9 |
1 |
国内物流部と海外物流部が統合し車両物流部発足 |
1 |
関東自動車工業(株)岩手工場製「スパシオ」配車・輸送開始 |
||
3 |
米子向けJR輸送再開 |
||
9 |
長野冬季オリンピック提供車両の輸送・納車 |
||
2000 |
平成12 |
4 |
TMMK(米)製「プロナード」配車・輸送開始 |
9 |
ダイハツ工業(株)京都出荷地、京都分室から工場隣接地へ移設 |
||
2001 |
平成13 |
1 |
トヨタ車体(株)いなべ工場製車の四日市港利用開始(四日市港から名古屋港まで輸送) |
6 |
関西出荷四国向け海上輸送開始 |
||
2002 |
平成14 |
7 |
NUMMI(米)製「ヴォルツ」配車・輸送開始 |
2003 |
平成15 |
9 |
TMUK(英)製「アベンシス」配車・輸送開始 |
2004 |
平成16 |
11 |
新門司港、中津港開港 |
2005 |
平成17 |
8 |
レクサス店向け国内輸送開始 |
9 |
京都新点(新車点検)センター稼働開始 |
||
11 |
|||
2006 |
平成18 |
1 |
内航新型船豊福丸就航 |
11 |
東北(岩手・秋田)新点統合センター稼働開始 |
||
2007 |
平成19 |
12 |
上郷中継ヤード縮小に伴い田籾ヤード開設 |
2008 |
平成20 |
2 |
「タウンエース」「ライトエース」輸入開始(ダイハツ製OEM車) |
3 |
新潟・米子向けJR輸送廃止 |
||
2009 |
平成21 |
8 |
車両保管ヤード2拠点返却(川崎、神戸ポートアイランド) |
2010 |
平成22 |
11 |
関東自動車工業(株)岩手工場より富士重工業(株)への「トレジア」配車・輸送開始 |
12 |
「LFA」配車・輸送開始 |
||
2011 |
平成23 |
1 |
セントラル自動車(株)宮城工場より配車・輸送開始 |
3 |
東日本大震災により東北拠点(仙台港など)被災 |
||
10 |
ダイハツ工業(株)製軽自動車「ピクシス スペース」配車・輸送開始 |
西暦 |
和暦 |
月 |
沿革 |
---|---|---|---|
1957 |
昭和32 |
1 |
トヨタ自販千種工場(輸出車の整備・点検)完成 |
8 |
アメリカ向け船積開始 |
||
1961 |
昭和36 |
11 |
トヨタ自販大江工場(輸出車の整備・点検)完成 |
1962 |
昭和37 |
2 |
トヨタ自販輸出業務部に車両課発足 |
1965 |
昭和40 |
2 |
ヨーロッパ向け輸出専用船就航 |
1967 |
昭和42 |
7 |
輸出基地名古屋トヨタ埠頭(現 名港センター)完成 |
1968 |
昭和43 |
11 |
アメリカ向け輸出専用船第一とよた丸就航 |
1969 |
昭和44 |
9 |
輸出船積100万台達成 |
1970 |
昭和45 |
2 |
トヨタ自販輸出車両管理部発足 |
1971 |
昭和46 |
12 |
トヨフジ海運(株)による外航輸送開始(タイ向け) |
1972 |
昭和47 |
2 |
横浜事業所開設 |
1973 |
昭和48 |
2 |
輸出車両総合管理システム稼働 |
1975 |
昭和50 |
4 |
オーストラリア向けCKD・完成車相積船とよふじ2就航 |
5 |
輸出船積500万台達成 |
||
1978 |
昭和53 |
3 |
アメリカ向け輸送に米国船導入 |
9 |
トヨタ積付方式開始 |
||
1979 |
昭和54 |
5 |
輸出船積1,000万台達成 |
1981 |
昭和56 |
8 |
総合物流管理システム稼働 |
8 |
田原ヤードから海外向け船積開始 |
||
1982 |
昭和57 |
7 |
工販合併に伴い、海外物流管理部(現 車両部流部)発足 |
1983 |
昭和58 |
2 |
|
7 |
工販合併に伴う見直し(オプション部品取付けのインライン化) |
||
1984 |
昭和59 |
4 |
とよた丸第1次リプレース船就航(せんちゅりーはいうぇい1、センチュリー・リーダー1) |
8 |
工販合併に伴う見直し(品質点検の重複作業廃止) |
||
12 |
NUMMI(米)向けKD出荷開始 |
||
1985 |
昭和60 |
4 |
米国トヨタ完成車輸送改善支援開始 |
5 |
輸出船積2,000万台達成 |
||
6 |
飛島センター本格稼働 |
||
8 |
名港センター整備開始 |
||
1986 |
昭和61 |
5 |
アメリカ向けCKD・完成車相積船とよふじ14就航 |
1987 |
昭和62 |
4 |
対米西岸向け定曜日配船本格化 |
10 |
対米完成車輸送への米国船使用開始 |
||
1988 |
昭和63 |
4 |
対米東岸、欧州向け定曜日配船試行 |
1989 |
平成元 |
9 |
東南アジア向け定曜日配船試行開始 |
11 |
対米向け車両の田原集約化 |
||
1991 |
平成3 |
11 |
トヨフジNo.15就航 |
1993 |
平成5 |
12 |
田原ヤード酸性雨対策(保護フィルム貼付け)開始 |
1994 |
平成6 |
4 |
九州揚港移転 |
12 |
積港金城ヤード返却終了 |
||
1995 |
平成7 |
1 |
北米揚港集約(8港から5港へ) |
1996 |
平成8 |
1 |
TMUK(英)製「カリーナE」一般国向け輸出開始 |
3 |
TMCA(カナダ)製「カムリ」中近東向け輸出開始 |
||
1997 |
平成9 |
9 |
カナダ、プエルトリコ向け積港、名港センターから田原へ変更 |
1998 |
平成10 |
2 |
北欧向け トランシップ開始 |
1999 |
平成11 |
2 |
南アフリカ向け積港、名古屋港地区公共ヤードから田原へ変更 |
6 |
豪州向け積港、横浜から飛島へ変更 |
||
9 |
PG(中近東湾岸諸国)向け積港、飛島から名港センターへ変更 |
||
2000 |
平成12 |
7 |
ダイハツ工業(株)との共同輸送開始(豪州向け) |
11 |
韓国輸出開始 |
||
2001 |
平成13 |
4 |
積港東海センター開所 |
4 |
|||
8 |
プエルトリコ向け北米専用船との相積み開始 |
||
10 |
積港飛島センターから東海センターへの集約完了 |
||
2002 |
平成14 |
3 |
ダイハツ車の南太平洋向けの東海センターからの積込開始 |
5 |
サンベルトスピリット号(対米保証船)就航 |
||
9 |
メキシコ、インド向けCBU(完成車両)船積開始 |
||
11 |
中国天津製「ヴィオス(VIOS)」出荷開始 |
||
2003 |
平成15 |
1 |
ドイツ向け揚港をジーブルージュ港へ集約 |
2 |
北欧向け揚港をマルモ港へ集約 |
||
8 |
北米東岸揚港、3港から2港へ集約 |
||
10 |
インディアナハイウェイ号(対米準保証船)就航 |
||
12 |
テキサスハイウェイ号(対米準保証船)就航 |
||
2004 |
平成16 |
4 |
カリブ航路の名港センターへの集約 |
4 |
アイルランド揚港集約(ダブリン直行からブリストルトランシップへ) |
||
5 |
カナダ向け積港、名港センターから田原へ変更 |
||
10 |
PG向け横浜積港を名港センターへ集約 |
||
2005 |
平成17 |
3 |
ニューナダ号(対米保証船)追加就航 |
5 |
IMV輸送開始(アルゼンチン域内、7月 インドネシア・欧州・中近東向け、8月 南アフリカ域内・欧州向け) |
||
9 |
横浜事務所の輸出機能廃止 |
||
10 |
中国 天津・広州海上輸送開始 |
||
12 |
SFTM(中国・長春)製「プリウス」配車・輸送開始 |
||
2006 |
平成18 |
1 |
米国西岸第3揚港べネシア運用開始 |
1 |
博多(香椎)港より中国向け輸出・船積開始 |
||
2007 |
平成19 |
1 |
博多(香椎)港より台湾向け輸出・船積開始 |
4 |
田原外航専用バース(T4、バース)増設完了 |
||
2008 |
平成20 |
9 |
カナダ向け車両の対米保証船への相積み開始 |
12 |
南アフリカ輸出ヤード集約完了、運用開始 |
||
2009 |
平成21 |
1 |
対米保証船隊スリム化完了(30隻→22隻→19隻) |
2011 |
平成23 |
4 |
北米ニューアーク港をモデルとした標準物流オペレーション改善開始 |
- *1
- PGとは、ペルシャ(Persia)と湾岸(gulf)のことであり、具体的にはバーレーン、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーンを指す