生産技術
概要・受賞履歴
概要
日本の自動車工業が、欧米の自動車技術を模倣した生産から脱皮して実質的な国内生産ができるようになったのは、昭和10年代前半のことである。1938年(昭和13年)に建設した挙母工場(粗形材加工から総組立までの一貫工程)の製造工程は、汎用機を並べたもので1台の機械に1人の熟練作業者が必要であり、生産性はまだ低かった。その後、1955年以降の自動車需要増から設備の近代化がはじまり、量産化・コスト低減を目的とした「設備の専用化・自働化」が推進された。
1970年代以降には、石油危機や公害規制への対応として、省資源・省エネルギー・作業環境改善などに取り組んだ。さらに、お客様のニーズの多様化により、多種類の製品をタイムリーに生産するとともに、モデルチェンジにも容易に対応できる柔軟性が要求され、「設備のフレキシブル化・汎用化」が推進された。
1985年以降は一貫して、量産化・少人化を目指した「自働化・ロボット活用」、また、設備のフレキシブル化・汎用化を目的とする「革新設備・型(シンプル・スリム化)」、高精度化・軽量化では「ネットシェイプの追求、アルミ化」などに取り組んできた。
この過程で、当社のグローバル化への対応としての「海外新工場建設、生産準備自立化」や、環境対応としての「エルゴノミクス、省エネルギー、リサイクル」にも取り組み、あわせて急速な進歩を遂げたデジタル技術を活用した「プロセス革新」を積極的に進めてきた。
社会の未来に貢献する新事業領域での生産技術開発においても、ハイブリッド車、燃料電池車、リチウムイオン電池、パートナーロボットなどで成果をあげてきた。また、2010年以降は、「良品廉価のモノづくり、常に目線はお客様」を目指し、さらなる生産技術開発・工程革新を進めている。
主な生産技術に関わる経緯
自動車の製造工程
受賞履歴
大河内賞 受賞歴
西暦
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和暦
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回
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賞名
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内容
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1968
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昭和43
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第15回
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生産賞
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閉そく鍛造の研究とその実用化
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1972
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昭和47
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第19回
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生産賞
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多様化した自動車生産のためのデイリーオーダーシステム
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1984
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昭和59
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第31回
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技術賞
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コンピュータ援助によるプレス金型設計とその評価システムの開発と実用化
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1988
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昭和63
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第35回
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技術賞
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中種中量フレキシブル生産システムの開発と実用化
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1989
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平成元
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第36回
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生産特賞
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年間無休型高度フレキシブル生産システムの開発と実用化
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1990
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平成2
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第37回
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生産賞
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自動車ボデーの統合型フレキシブル溶接組付システムの開発と実用化
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1991
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平成3
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第38回
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生産賞
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レーザー溶接による一体化ボデーパネル生産システムの開発
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1993
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平成5
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第40回
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生産賞
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新しい自動車組立ラインの開発(トヨタ自動車九州(株) 組立ライン)
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1999
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平成11
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第46回
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生産賞
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モータリングによるエンジン機能自動検査システムの開発
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2000
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平成12
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第47回
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生産特賞
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高靭性・焼入れ鋳鉄の開発による自動車ボデー薄鋼板プレス用金型の短期開発・低コスト化
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大河内賞について
大河内記念会は、(財)理化学研究所3代目所長 大河内正敏博士の遺志を受け「生産工学の振興」に寄与することによって日本の産業と科学技術の発展に貢献することを目的に1954年(昭和29年)4月に設立され、主な事業として贈賞事業、研究助成事業、技術交流事業、出版事業を行っている。
大河内記念賞については、そのなかの贈賞事業として行う賞で、生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施等に関する顕著な功績に対し表彰される。産業界の表彰としては極めて名誉ある賞である。
区分
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賞の種類
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対象となる業績
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個人または5名以内のグループを対象とする賞
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大河内記念賞
(1件/年) |
生産工学上優れた独創的研究成果をあげ、公表された論文または学術上価値ある発表により、学術の進歩と産業の発展に多大な貢献をした業績
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大河内記念技術賞
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生産工学、生産技術の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績
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事業体を対象とする賞
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大河内記念生産特賞
(1件/年) |
生産工学上の優れた独創的研究によりあげられた産業上の特に顕著な業績
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大河内記念生産賞
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生産工学、高度生産方式等の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績
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