調達
概要
調達の果たすべきミッションは、「社会から尊敬・信頼され、かつ競争力ある調達基盤を構築し、最も良い製品を、最も安く、最も早く(タイムリー)、長期安定的に調達する」ことにある。そのミッションの実現に向けて、調達はクルマの開発から生産準備・量産・補給までのそれぞれのフェーズで、仕入先および設計・生産準備(生産技術)・製造など、社内各機能と連携して、業務を推進する役割を担っている。
調達部門では、世界中の全事業体で調達業務に携わる者が共有・実践すべき理念・考え方を明示化・明文化した「調達のトヨタウェイ」を2009年に策定しているが、そのベースは、創業以来、仕入先との取引で培ってきた歴史を通じて形成されてきた。
会社創業当時に策定された「購買係心得帳」には、より良いモノ、調達先を求めて、常に門戸を開放する考え方が記されており、「オープンドアポリシーに基づく公正な競争」という基本方針として生きている。「相互信頼に基づく相互繁栄」は、仕入先の経営がしっかりしていることがトヨタにとっても重要であり、苦楽をともにし難局を共に乗り越える一心同体の考え方に基づいている。
また、豊田綱領の「産業報国の実を挙ぐべし」の考え方は、1984年のNUMMI稼働に伴う本格的な現調化*活動の展開以降、現地の仕入先から積極的に調達することにより地域社会に貢献し、「良き企業市民を目指した現地化を推進」する方針として脈々と受け継がれている。
近年では、企業は社会的責任と環境に配慮した活動が求められており、その土台の上に「安全」「品質」「生産」「原価」のステップを踏んで調達活動を行っている。
- *
- 現調化:「現地調達化」のこと。「日本で生産・製造した部品を輸出する」ことから「現地すなわち生産国・地域で部品を生産・製造したり、当該国・地域で生産・製造された部品を調達すること」へ移行していくことをいう。
西暦
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和暦
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月
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【自部門の動き】
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【協力会の動き】
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---|---|---|---|---|
1937
|
昭和12
|
9
|
購買係設立。事務部にて発注部品の生産の進捗確認、検査および納期の督促を担当
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1938
|
昭和13
|
5
|
事務部の購買係、督促係が分離独立し購買部設置
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|
1939
|
昭和14
|
6
|
東京出張所内に購買部設置
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|
11
|
|
「トヨタ自動車下請懇談会」開催、協力会が発足。18社参加。
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1940
|
昭和15
|
|
大阪出張所係設置
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1943
|
昭和18
|
12
|
|
|
1946
|
昭和21
|
7
|
|
|
1947
|
昭和22
|
1
|
|
|
1
|
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|||
1958
|
昭和33
|
4
|
購買部が名古屋事務所に移動(仕入先や中央との連絡の迅速化が目的)
|
|
1960
|
昭和35
|
8
|
本館事務所の完成とともに購買部は本社(豊田市)に移転
|
|
1962
|
昭和37
|
3
|
名古屋分館にあった機工課、施設購買課が本社に移り購買部が本社に集中
|
|
4
|
|
精豊会が発足(型・治具・ゲージメーカーで構成)
|
||
11
|
|
栄豊会が発足(設備メーカーで構成)
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|
VA(Value Analysis:価値分析)導入による原価低減の活動スタート
|
|
||
1963
|
昭和38
|
2
|
第1購買部と第2購買部に分離
|
|
1965
|
昭和40
|
10
|
第1回仕入先品質管理研究会開催
|
|
1966
|
昭和41
|
2
|
購買管理部設置
|
|
7
|
|
精豊会で、「技能技術向上大会」を開催
|
||
1973
|
昭和48
|
|
|
「トヨタ関連部品健康保険組合」が発足。厚生省から特例として認可。会員会社43社
|
1974
|
昭和49
|
5
|
|
「資材委員会」が活動開始
―オイルショックによる「省資源・省エネルギー・省資材」を多角的に検討する委員会 |
8
|
|
「トヨタクリーンプラザ」が設立
|
||
1975
|
昭和50
|
8
|
住宅事業進出に伴い、第2購買部に住宅資材係設置
|
|
1976
|
昭和51
|
5
|
|
関東協豊会で「トヨタ生産方式研修会」を開催
|
7
|
|
東海協豊会が労働大臣賞を受賞
|
||
1977
|
昭和52
|
2
|
原価企画・管理体制の強化を目的に購買管理部の原価係を2係に増強
|
|
1978
|
昭和53
|
|
70%操業体制の推進(~1979年)
|
|
|
「部品別仕入先検討会」の充実
|
|
||
1979
|
昭和54
|
12
|
品質総点検活動の開始
|
|
|
輸入部品の保税、再輸出免税の活用開始
|
|
||
|
「VE・VA提案制度」の新設
|
|
||
1980
|
昭和55
|
|
製品変革への対応強化(FF化・新エンジン・EFI化など)
|
|
|
優良仕入先表彰制度の新設
|
|
||
|
発注会議の新設
|
|
||
1981
|
昭和56
|
|
仕入先の技術力強化のための取組み強化
|
|
|
新製品、新技術提案制度の新設
|
|
||
|
分解展示会の新設
|
|
||
1982
|
昭和57
|
2
|
|
タイにTTC(TOYOTA CO‐OPERATION CLUB)発足
|
|
補給部品・用品・特装車の購買機能の一元化(仕入先・支払条件・価格・システムなど)
|
|
||
1983
|
昭和58
|
4
|
|
栄豊会発足
―「旧栄豊会(設備メーカーで構成)」と「精豊会(型・治具・ゲージメーカーで構成)」の統合 |
|
「内装商品力向上委員会」活動への参画
|
|
||
|
「NUMMI調達分科会」活動への参画
|
|
||
1984
|
昭和59
|
|
「マルEプロジェクトチーム活動」への参画
|
|
|
「補給部品共通化活動」の開始
|
|
||
|
「CCR活動」の開始
|
|
||
1985
|
昭和60
|
2
|
組織改定 東京支社購買部の業務を本社に移管、物流課新設など
|
|
|
「北米プロジェクト活動」への取組み
|
|
||
|
「少量品造り方改善活動」の開始
|
|
||
1986
|
昭和61
|
4
|
「品質総点検」を改め「QA点検」の開始
|
|
10
|
「円高緊急対策委員会」設置
|
|
||
|
VE・VAをはじめとする原価低減活動の強力な推進
|
|
||
|
「研究開発アイテムの内外検討会」の新設
|
|
||
1987
|
昭和62
|
1
|
|
協豊会・栄豊会合同大会始まる
|
1
|
新資材システム稼働
|
|
||
3
|
業務点検「調達企画体制の充実」
―調達の国際化など審議 |
|
||
7
|
|
インドネシアにTMC(TOYOTA MANUFACTURERS CLUB)発足
|
||
9
|
「JAMA/MEMA協議会」開始
|
|
||
|
国瑞(台湾)、TMCA(豪州)出向開始(以降主要拠点に人材派遣)
|
|
||
1988
|
昭和63
|
2
|
第3部品課が海外調達室へ
|
|
|
カムリ部品のTMMKからの横展輸入
|
|
||
1989
|
平成元
|
8
|
国際調達部設置
|
米国にBAMA(BLUE GRASS AUTOMOTIVE MANUFACTURERS ASSOCIATION)発足
|
9
|
|
台湾に国瑞協力会(K.C.C. Kuozui Co-operation)発足
|
||
10
|
国際協調プログラム
|
|
||
10
|
国内および北米の保証期間延長
|
|
||
1990
|
平成2
|
10
|
「第1回 北米輸入サプライヤーズミーティング」開催(第2回は、1991年11月)
|
|
|
トヨタ自動車北海道、トヨタ自動車九州への物流体制構築完了
|
|
||
1991
|
平成3
|
1
|
「購買方針」で600万台体制を取上げ
|
|
6
|
部品種類適正化活動
|
|
||
12
|
新国際協調プログラム
|
|
||
1992
|
平成4
|
9
|
「特別VA活動」始まる
|
|
6
|
第1次「マルI」始まる(~1992年9月)
|
|
||
|
対米ボランタリープログラム
|
|
||
1993
|
平成5
|
2
|
緊急VA活動
|
|
6
|
第2次「マルI」始まる(~1993年10月)
|
|
||
7
|
第1次「部品ミニ発注会議」始まる(~1994年9月)
|
|
||
9
|
改善推進室設置
|
|
||
1994
|
平成6
|
4
|
|
オーストラリアにTSN(TOYOTA SUPPLIER NETWORKS)発足
|
9
|
「仕入先ミニ発注会議」始まる(~1995年5月)
|
|
||
|
「画期的原価低減活動」始まる
|
|
||
1995
|
平成7
|
1
|
国際調達部に中国グループを設置
|
|
1
|
阪神・淡路大震災仕入先復旧活動開始
|
|
||
4
|
品質目標設定の一部変更
|
|
||
5
|
第2次「部品ミニ発」始まる
|
|
||
|
「JAMA/CLEPA(ビジネスカンファレンス)」開始
|
|
||
1996
|
平成8
|
1
|
「商品力向上VE活動」始まる
|
|
6
|
「NBC活動」仕入先説明会開催
|
|
||
8
|
グローバル・ボデー・ライン(GBL)をTMV(ベトナム)で試行開始
|
|
||
|
ICT(Intra Company Transferees:企業内転勤)の受入開始
|
|
||
1997
|
平成9
|
2
|
|
欧州にTEAM(TOYOTA IN EUROPE ASSOCIATION OF MANUFACTURERS)発足
|
6
|
国際調達部廃止
|
|
||
8
|
|
マレーシアにTOYOTA SUPPLIERS' CLUB発足
|
||
|
TMCバイヤー教育に海外事業体が参加
|
|
||
|
ハイブリッド車用部品購入先として「パナソニックEVエナジー(株)(現 プライムアースEVエナジー(株))」「多摩川精機(株)」と取引開始
|
|
||
1998
|
平成10
|
1
|
生準(生産準備)支援室設置
|
|
4
|
サプライヤーズセンター新設
|
|
||
9
|
「EQ(Excellent Quality)委員会」開設
|
|
||
11
|
「固定費低減活動」仕入先説明会
|
|
||
1999
|
平成11
|
2
|
「トヨタ仕入先総会」開催
―海外仕入先を招待 |
|
3
|
仕入先に「環境に関する調達ガイドライン」を提示
|
|
||
4
|
|
|||
7
|
「JMS(日本経営管理標準)」公表
|
|
||
2000
|
平成12
|
2
|
「トヨタ仕入先総会」の仕入先表彰で「グローバル貢献賞」開始
|
|
6
|
|
フィリピンにTSC(TOYOTA SUPPLIERS CLUB)発足
|
||
7
|
「CCC21(Construction of Cost Competitiveness 21th century)」活動開始
|
|
||
10
|
「品質緊急対応 仕入先説明会」開催
|
|
||
10
|
グローバル調達システム、TMMNA(米国)で導入
|
|
||
11
|
「品質展示会」開催
|
|
||
|
「AD21」活動開始
|
|
||
2001
|
平成13
|
1
|
タイに「IMVコミュニティ」設置
|
|
1
|
組織改定(3部12室を2部9室に変更)
―第1調達部・第2調達部を調達部に統合、調達企画部をグローバル調達企画部に改称 |
|
||
2
|
「IMV」仕入先説明会
|
インドにTKSA(TOYOTA KIRLOSKAR SUPPLIERS ASSOCIATION)発足
|
||
2
|
「トヨタ仕入先総会」に海外仕入先協力会会長を招待
|
|
||
12
|
「固定費低減活動」仕入先懇談会
|
|
||
12
|
「トヨタ内製固定費改革の取組み」仕入先説明会
|
|
||
2002
|
平成14
|
2
|
「仕入先総会」を改め、「トヨタグローバル仕入先総会」開催
-以降毎年開催 |
|
|
「OT-CLAB(Overseas Trainee, culture language business)」開始
|
|
||
2003
|
平成15
|
6
|
「品質宣教師活動」を開始
|
|
9
|
従来の「発注会議」を「グローバル発注会議」に名称変更
|
|
||
|
仕入先表彰で「種類削減特別賞」開始
|
|
||
2004
|
平成16
|
2
|
「ダントツ工程づくり」グローバル仕入先総会で調達方針を説明
|
|
2
|
「DE(デジタル・エンジニアリング)連絡会」開催
|
|
||
4
|
ハイブリッドグループ新設
|
|
||
|
仕入先表彰で「海外リージョン貢献特別賞」開始
|
|
||
2005
|
平成17
|
1
|
組織改定(2部9室を3部8室に変更)
―グローバル調達企画部、第1調達部、第2調達部 |
|
2
|
「国内生産拡大に対するお願い」グローバル仕入先総会で説明
|
|
||
4
|
「CF(Customer First:お客様第一)活動推進委員会」を結成
|
|
||
5
|
「VI(Value Innovation)活動」開始
|
|
||
8
|
「仕入先CF説明会」を実施
|
|
||
10
|
「部品取引基本契約書改定」に関する説明会を実施
|
南アフリカにTSASA(TOYOTA-SOUTH AFRICA SUPPLIER ASSOCIATION)発足
|
||
|
ダントツ工程づくりに仕入先と連携した取組みを開始
|
|
||
2006
|
平成18
|
2
|
|
ブラジルにBRAZILIAN AUTOMOTIVE SUPPLIERS ASSOCIATION(TDB)発足
|
3
|
「環境に関する調達ガイドライン」を改訂
|
|
||
4
|
|
アルゼンチンにAPTA(ASOCIACION PROVEEDORES TOYOTA ARGENTINA)発足
|
||
5
|
|
協豊会・栄豊会の経営者懇談会で現地見学会を開始
|
||
6
|
安全体感施設を見学・体験
|
|
||
6
|
「CF一体活動仕入先説明会」を実施
|
|
||
10
|
「仕入先CF活動開発説明会」を実施
|
|
||
2007
|
平成19
|
5
|
「調達業務の自工程完結について考える」講演会開催
|
|
6
|
CSR関係勉強会開始
|
|
||
10
|
「自動車産業適正取引ガイドライン」に関する説明会実施
|
|
||
11
|
「地震対策好事例集」作成
|
|
||
12
|
自工程完結の代表事例発表会を実施
|
|
||
2008
|
平成20
|
1
|
組織改定(3部を1室4部に変更)
―調達企画室、グローバル調達推進部、ボデー部品調達部、ユニット部品調達部、資材・設備調達部 |
|
4
|
|
協豊会テーマ研究会で「スタッフの自工程完結」
|
||
5
|
緊急VA活動開始
―21・22日協豊会会員会社対象に説明会 |
|
||
8
|
コンパクト車の原価低減改革「A-EQ活動」を開始(~2009年11月)
|
|
||
2009
|
平成21
|
2
|
「仕入先CSRガイドライン」策定
|
|
3
|
仕入先CSR勉強会シリーズ開始
|
|
||
5
|
「調達トヨタウェイ」策定
|
|
||
12
|
良品廉価を実現するためのコストイノベーションとして「RR-CI」活動を開始
|
|
||
2010
|
平成22
|
1
|
組織改定(1室4部)
―調達統括室、調達企画部、ボデー部品調達部、ユニット部品調達部、資材・設備調達部 |
|
2011
|
平成23
|
1
|
組織改定(1室4部)
―調達企画室、調達プロジェクト管理部、ボデー部品調達部、ユニット部品調達部、資材・設備調達部 |
|
3
|
東日本大震災対策本部設置
|
|