物流

生産部品物流

物流には、部品の調達から始まって商品をお客様に届けるまでの間に行う物(部品)や商品を動かすために様々な業務があるが、そのうち部品生産から製品生産間の物流を生産部品物流という。

トヨタ生産方式における生産部品物流は、ジャスト・イン・タイムを基本とし、必要な物を必用な時に必要な数だけ運ぶということである。また作りすぎのムダを排除することから、後工程が前工程に必要なものを、必要な時に、必要な量だけ引き取りに行く「後工程引き取り」が基本となっている。

トヨタ自動車における生産部品物流は、1959年(昭和34年)に元町工場ができるまでは、工場内とサプライヤーとの間の物流のみであった。その後、国内工場の拠点数拡大、海外現地生産(CKD)の開始、近年では海外現地生産の急速な進展や国内での遠隔工場の設立によって、生産部品物流の役割および施策に大きな進展をもたらすものであった。

西暦
和暦
工場内物流
工場間物流(含むサプライヤー)
1948
昭和23
後工程引き取り(運搬逆まわり)開始
*仕入先との間の物流は「庭先渡し」が基本で、仕入先が部品を搬入
1953
昭和28
挙母工場(現 本社工場)の機械工場で呼出方式開始
 
1955
昭和30
定量セット運搬(水すまし方式)開始
 
1959
昭和34
 
元町工場稼働に伴い工場間乗継方式開始(トヨタ内工場間後工程引取り開始)
1970
昭和45
全工場で運搬呼出方式開始
 
1973
昭和48
 
仕入先乗継方式開始
1977
昭和52
巡回運搬方式/中継運搬方式開始
 
1984
昭和59
 
 
1985
昭和60
無人搬送システム(AGV)導入開始(衣浦工場)
 
1992
平成4
 
遠隔工場(トヨタ自動車九州(株)、TMHトヨタ自動車北海道(株))
対応開始(船輸送を核としてJR、トラック輸送)
国内工場向け上郷部品集荷センター稼働開始
1994
平成6
構内物流支援システム導入開始(高岡工場)
 
1999
平成11
 
e-かんばん トヨタ車両5工場へ展開
2000
平成12
 
e-かんばん ボデーメーカーへ展開(2002年展開完了)
2002
平成14
 
e-かんばん トヨタ全工場へ展開
2004
平成16
構内物流支援システムをボデーメーカー、海外工場に展開
 
2005
平成17
 
調達物流改革推進
2006
平成18
 
関東自動車岩手工場への部品輸送にJR貨物利用開始(トヨタロングパスエクスプレス)
―モーダルシフトの採用*1
2009
平成21
 
調達物流改革の一環としてトヨタ車両工場にP-レーン導入
2010
平成22
 
 
2011
平成23
 
 
*1
モーダルシフトとは、トラックによる幹線貨物輸送を、地球に優しく、大量輸送が可能な海運または鉄道による転換すること。
西暦
和暦
日本・海外間の物流(日本調達品)
海外での物流(現地調達品)
1955
昭和30
ブラジルトヨタ稼働(5月)に伴う出荷開始
―CKDは、木箱に梱包し在来貨物船で輸送*1
 
1984
昭和59
NUMMI(米)向けにコンテナ部品輸送開始
―上郷物流センターで梱包出荷し、名古屋港で積込み
 
1985
昭和60
 
NUMMI生産開始に伴い物流整備
―欧米の調達物流はサプライヤー(現地仕入先)の庭先渡しを基本とし、各工場単位で定期ダイヤ方式による目的地混載集荷(ダイレクトミルクラン*2)を標準とする
1987
昭和62
飛鳥物流センターⅠ期工事完了
 
1988
昭和63
TMMK(米)、VW(独)向けにコンテナ部品輸送開始
―飛鳥センターで梱包出荷
 
1989
平成元
CKD、国際規格のコンテナ利用出荷形態に徐々に切り替え(1999年完了)
 
1990
平成2
アジア地域、3国間物流対応としてシンガポールにTMSS(Toyota Management Service Singapore)設立
 
1991
平成3
SN*3箱開発・導入(当初TMM「カムリ」、NUMMI「ハイラックス」、以降中南米以外で展開)
TMMF(フランス)稼働開始を契機に4中継拠点を活用した欧州共同物流立上げ。TLMS(Toyota Logistics Management System)導入
1992
平成4
 
 
1993
平成5
インドネシア向けにバルク梱包*4導入(その後タイ、南アフリカ、ブラジル、中国などへ展開)
 
1995
平成7
TMMC(カナダ)でKRS(かんばんリフリションシステム e-かんばんのプロト版)立上げ
 
1996
平成8
 
北米部品センター(NAPCC)(カリフォルニア州)設立
1997
平成9
 
北米、容器荷姿寸法規格制定(以降2003年東南アジア規格制定まで順次展開)
1998
平成10
 
北米で共同物流開始
2000
平成12
 
北米、欧州の量産車両工場よりe-かんばんシステム展開
北米4中継拠点(クロスドッグ)を活用して共同物流立上げ
2001
平成13
 
北米調達品の在庫拠点(NAPCK)設立
2002
 
 
シンガポールにクロスドックセンター設置
―出荷地混載から仕向地混載のモジュール切替え
2003
平成15
 
トヨタ物流管理システムの北米導入
2004
平成16
 
IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)プロジェクトスタートで3国間物流ノウハウが集大成される
2005
平成17

飛鳥コンテナバース(TCB)第1バース完成、稼働開始

飛鳥コンテナバース(TCB)第1バース完成、稼働開始
IMV稼働に合わせ、3国間物流を制御する部品オーダーシステム、G-PACK導入
2006
平成18
 
 
2007
平成19
 
 
2008
平成20
飛鳥コンテナバース(TCB)第2バース完成
 
2009
平成21
 
 
2010
平成22
上郷バンニングセンター、飛鳥バンニングセンターに新コンセプト導入
―海外生産事業体の生産ニーズにあわせた日本調達品出荷できるしくみへ変革
 
2011
平成23
 
 
*1
ノックダウン(Knock Down)とは、その荷姿が完成車からみるとばらばらに解体(Knock Down)された形となるところから命名されたが、その解体の程度によってCKD(Complete Knock Down)とSKD(Semi Knock Down)に分かれる。
*2
ミルクランとは、1台のトラックで複数の部品サプライヤーを回って部品を集荷してくる巡回集荷のこと。牧場を巡回して牛乳を集荷するのになぞらえて称す
*3
SN箱とは、スタッキング(Stacking:積み重ねる)とネスティング(Nesting:入れる式積み重ね)箱の意味
*4
バルク梱包とは、従来の10台セットによる部品出荷形態から、仕入先‐トヨタ‐海外工場で取り交わした収容数単位で出荷する形態。仕入先の納入単位で出荷できることから、梱包・出荷作業効率が向上することを狙った方法。特にボルトナットなどの場合、10台分に必要なものを数合わせすることには多くの手間がかかることから、例えば1箱1,000個単位で送ることとした。
バルク(bulk)とは、英語で「大きさ、かたまり、容積」を意味し、バルク輸送とは荷物を包装したり箱詰めすることなく、そのまま(バルク)の状態で運ぶ輸送のこと。

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