第2節 工販合併―トヨタ自動車の発足

第4項 QC活動のさらなる推進

QC活動は、工販合併前後に販売店の間で活発になり、このころから経営体質改善策として軌道に乗っていった。

販売店へのQC導入は、製造・販売の連携や販売力の強化が必要との認識から、1980(昭和55)年末の工販合同政策会議で決定された。これを受けて、1981年2月にトヨタ自販内にQC活動の推進事務局を設置し、QC導入の準備を開始した。1982年3月には全国販売店代表者による1回目のトップ研修会を開き、販売店でのQC活動が始まった。

工販合併後の1983年初めには、部品共販会社なども含む全販売店の約9割が何らかの形でQCを導入した。このようなQCの普及に対して、トヨタでは、1983年2月にはオールトヨタのQC推進を担うTQC推進室を新設し、「トヨタ販売店QC推進賞」の名称で表彰制度を設けた。さらに、1984年からは成果発表・表彰の場として「トヨタ販売店QC全国大会」をスタートさせた。その結果、1997年までに全国の販売店のうち約6割が同推進賞を受賞するなど、全体的なレベルアップも着実に進んだ。

当時、製造部門の品質管理手法とみられていたQCの販売部門への展開は異例であり、多くの業界から注目を集めた。トヨタの原点である「品質」の追求は、工販合併を機に再確認され、販売部門でも大きな成果をもたらしたのである。

一方、TQC推進室の発足とともに豊田章一郎社長は、経営陣が率先してQCに取り組むべきとの方針を打ち出した。これに基づき、1983年6月には全役員の出席により、第1回QC研修会が2泊3日の日程で開かれた。討議のテーマは、「販売・商品企画・開発・生産の一体化・効率化」「販売店の体質強化」など、合併直後だけに社内や販売店との連携に焦点が当てられた。役員QC研修会は、同年から毎年開催されるようになり、9回目の1991(平成3)年には役員研修会と改称した。

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