第4節 新規事業への取り組み

第2項 住宅事業への取り組み

個人向け住宅の開発

トヨタの住宅事業への本格的な取り組みは、1968(昭和43)年に始まる。同年12月の全豊田技術会議で、グループ各社に専門チームを設置して具体的な検討を行うことを決定した。翌1969年2月にトヨタ自工の総合企画室内に住宅研究・開発グループが発足し、トヨタがベースユニット、アイシン精機がアルミサッシとエクステリア、日本電装(現・デンソー)がキッチンユニットと冷暖房設備というように、グループ各社が分担して開発・試作を進めることになった。

1975年に平屋建て、その翌年には2階建ての試作住宅が完成した。トヨタでは、1975年8月に住宅事業部を新設し、同年12月から業務用の「トヨタオフィス&ショップ」1の販売を開始した。

次いで、個人向け戸建住宅についても、軽量鉄骨型の「JA型」と、鉄筋コンクリート系の「KC型」の開発が完了し、1977年2月に「トヨタホーム」の商標で発売に踏み切った。

住宅事業は将来の成長を支える事業の柱として期待された2が、プレハブ戸建住宅業界は大手先発メーカーが大きなシェアを占めており、その壁は厚かった。

1985年からは既存シリーズの改良や高級シリーズの追加など、商品ラインアップを拡充し、また、1986年には従来の鉄骨ラーメンユニット住宅に加え、鉄骨軸組系の商品も本格投入した。その後、2000(平成12)年には新日本製鐵と共同開発したスチールハウス(2005年からはトヨタの独自構法)にも参入した。

販売戸数の着実な増加に対応し、1987年4月には愛知県春日井市に初の住宅専門工場として春日井事業所が完成し、操業を開始した。続いて、1989年に栃木事業所(栃木市)、1991年に山梨事業所(南アルプス市)と、住宅の専門工場が相次いで開設され、3工場で年間6,000棟を生産できる体制を整えた。

1987年には販売網の改革も進め、従来の車両販売店の住宅部門から独立したトヨタホーム愛知など、専門販売店8社が営業を開始した。翌1988年以降、専門販売店の展開が順次進み、1991年には33店のネットワーク3ができあがった。

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