第2節 欧州事業の自立化

第4項 統括体制と現地化

持株会社TMEの発足

欧州全域への生産拠点拡充に対応し、2002(平成14)年にはトヨタ・モーター・マーケティング・ヨーロッパ(TMME)とトヨタ・モーター・エンジニアリング・アンド・マニュファクチャリング・ヨーロッパ(TMEM)の持株会社としてトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME)を設立して経営企画、渉外広報、法務、環境対策などの機能をもたせた。これにより、TMMEが営業、TMEMが研究開発と製造、TMEが経営全般を担う体制となり、各統括会社の役割・責任を明確化した。

この2002年には「欧州連合法」の第2次「一括適用除外規則」(ブロック・エグゼンプション)が期限切れを迎え、新規則が制定された。一括適用除外規則とは、「EU競争法」で定めた域内自由流通の原則を一部変更する特例措置を決めたものである。新規則は1年の移行期間を経て、2003年10月からスタートした。この新規則により、①ディーラーのテリトリーがなくなり、EU域内であればどこでも販売可能、②ディストリビューターの定める基準を満たす場合には、ディーラーだけでなく独立修理業者も正規サービス業者として認定することの義務づけ、③同一店舗内での複数競合ブランドの取り扱い可能、④純正部品使用の義務づけの更なる制約導入、などの状況が生まれた。

トヨタでは、こうした厳しい規則の施行を販売網強化の絶好機ととらえ、ディーラーの大規模化と有力資本による大規模販売網への再編などを進めた。その結果、欧州のディーラー数は1割程度減少したものの、1ディーラー当たりの販売台数は大幅に増え、販売網の体力強化を図ることができた。

2005年には各統括会社間のコミュニケーションを高めるため、TMME、TMEM、TMEの3社を統合し、新TMEを設立することを決定した。統合にあたっては、TMMEとTMEMの自主性を維持するため、それぞれ社内カンパニーとし、TMEMについてはR&Dマニュファクチャリング・カンパニー(RDMC)と社名変更した。

新TMEは、それまでTMMEとTMEMが営業・製造面で進めてきた現地化をいっそう図るとともに、2004年に打ち出していた「2010年に120万台の販売」を目指す「欧州2010ビジョン」に取り組んだ。2007年には124万台を記録、前倒し達成を実現し、新TMEはさらに事業基盤の確立と自立化を推進している。

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