第7節 グローバリゼーションを支えた各機能

第1項 再編のうねりと意識改革の推進

国内メーカーとの提携促進

世界の自動車産業では、1990年代末に国境を越えた再編のうねりが巻き起こった。国際競争の激化や、21世紀に不可欠な環境対応技術への膨大な投資負担が、その引き金となった。

まず、1998(平成10)年にドイツのダイムラー・ベンツ社と米国のクライスラー社が合併し、ダイムラー・クライスラー社が発足した。続いて、1999年にはフランスのルノー社と日産自動車が資本提携し、さらに2000年になると富士重工業が米国のゼネラル・モーターズ(GM)社から、三菱自動車工業がダイムラー・クライスラー社から出資を受けた。

当時、マスメディアでは、年間の生産規模が400万台以上でなければ、21世紀での生き残りは困難になるとの論調が多く見られ、規模を追求する合従連衡が進んだ。これにより、自動車産業は世界規模のグループ対グループによる大競争時代を迎えた。トヨタでは、2000年度の全社重点実施事項の第1項に、「世界トップレベルを目指したグループ総合力の強化」を掲げ、グループ内の連携をいっそう強める方針を打ち出していった。

その一環として、2001年4月にトヨタが担っていたL&F(ロジスティクス&フォークリフト)事業の販売部門を豊田自動織機に集約した。L&F事業で扱うフォークリフトなど産業用車両は、世界でトップシェアをもっており、豊田自動織機が開発・製造から販売まで機動的に運営する体制となった。

完成車メーカーとの連携強化については、1998年にダイハツ工業への出資比率を51.2%に引き上げて連結子会社としていたが、トラック・バス部門を担う日野自動車についても、2001年8月に50.1%まで出資比率を高めた。日野自動車とは、1996年に2トン級トラックの開発・生産を同社に集約することで合意しており、同社からの増資要請を受けて連結子会社とした。

一方、グループ外の自動車メーカーについても、いずれもGM社との提携を解消した富士重工業、いすゞ自動車と業務・資本提携を結んだ。富士重工業に対しては、2005年に8.7%を出資し、同社米国工場でのカムリの生産委託や、スポーツモデルの共同開発などを進めることとした。なお、同社への出資は2008年に16.5%へと引き上げた。また、いすゞ自動車とは、ディーゼルエンジンの共同開発で提携し、2006年に5.9%を出資した。

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