第6節 新たな成長を目指して

第3項 商品力の強化

スポーツモデルの投入

「もっといいクルマをつくろうよ」の合言葉のもと、2010(平成22)年1月にスポーツ車両統括部が発足した。クルマの「持つ楽しさ」「走る楽しさ」「語り合う楽しさ」をテーマに、「GAZOO Racing」が取り組んできたクルマ本来の楽しさや喜び、そして感動を伝える活動を継続的で確固たるものにするため、スポーツに関する取り組みを一つにまとめて発展させることをねらいとした。同統括部ではスポーツモデルの企画・開発や、クルマファンの拡大を目的としたイベント企画などを推進している。

また、量販車をベースにした「GRMN」や「G SPORTS」(略称G’s、ジーズ)といったスポーツコンバージョン車両の開発も担っており、2010年6月にはその第1弾として、ヴォクシーとノアにG’sシリーズを新設定して発売した。それぞれ2グレードを用意し、幅広いお客様に「走りの味」を楽しんでもらうため、お求めやすい価格設定とした。G’sシリーズは、2012年3月までにヴィッツ、プリウスも加えている。

2012年2月には、2007年から富士重工業と共同開発を進めてきた待望の小型FRスポーツカー「86(ハチロク)」を発表し、4月から発売した。富士重工業の水平対向エンジンとトヨタの直噴技術を融合させた2.0Lエンジンは、最高出力200馬力を発揮する一方、軽量化などで13.4 km/Lの燃費性能(JC08モード)を実現した。取り回しやすい「手の内感」や「操る楽しさ」をコンセプトに、クルマ本来の楽しさが体感できるスポーツカーに仕上げた。

販売にあたっては、「スポーツカー好きが集う大人のたまり場」をコンセプトに、全国の販売店のうち283店に「AREA 86」と呼ぶコーナーを設け、500人余りの専門スタッフが応じる体制とした。また、オーナーが自分だけの1台を育てるための専用パーツの充実などにより「お客様とともに進化する」スポーツカーを目指していく。

モータースポーツ活動では、2012年シーズンから「ルマン24時間レース」に、レーシングハイブリッド車によって13年ぶりに参戦復帰することを決めた。ルマンは同シーズンから国際自動車連盟の世界耐久選手権シリーズとして開催され、トヨタはルマンを含むシリーズ数戦に参加する。

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