TMUK、TMMFの設立―現地生産体制の確立

1980年代後半からの輸出自主規制と円高に対応して、トヨタは欧州での現地生産を検討し、まず1989(平成元)年にフォルクスワーゲン(VW)社との協業により、西ドイツでハイラックスの生産を開始した。ついで、1992年には初のヨーロッパ生産拠点であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・UK(TMUK)で、カリーナEの生産が始まった。

TMUKでは1998年にカリーナEの後継車アベンシスの生産を開始し、同時に第2工場でカローラリフトバックの生産を始めた。これにより、TMUKの車両生産能力は年間20万台規模となり、エンジン生産についても1999年には20万基へと拡大した。初のヨーロッパテイスト車であるアベンシスは、2003年のモデルチェンジを機に欧州全域向けのモデルとして定着し、日本、アフリカ、中南米など世界60カ国以上に輸出されるまでになった。

一方、1994年からカローラの生産を開始していたトルコの合弁会社TOYOTASAは、その後2000年の製販分社化を契機にトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ターキー(TMMT)となり、2002年からは欧州各国向けにカローラセダンの輸出を開始した。TMMTは製造品質でトヨタの海外生産拠点のなかでもトップレベルにあり、欧州市場向け供給拠点として重要なポジションを占めるようになった。

1990年代後半になると、欧州で「2005年に80万台」の販売目標を打ち出し、現地生産の拡充を図った。その達成に向け、1998年にトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)をフランス北部のバランシエンヌ郊外に設立した。生産車種は開発を進めていたヤリスとし、TMUKのアベンシス、カローラとあわせて、コアモデル3車種の欧州での現地生産体制を確立した。

フランスでの新工場建設は、かねてフランス政府の強い誘致とともに、ヤリスの主要マーケットである南欧に近く、さらにTMUKからもアクセスが比較的容易で調達や生産面での連携がとりやすいことが決め手となった。TMMFでは、2001年1月にヤリスの生産を開始した。

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