第3節 アジア市場の広がりとオセアニア地域

第3項 域内支援体制の促進

生産・販売分野での支援体制と研究開発

東南アジアの営業統括機能は、1990(平成2)年にシンガポールに設立したトヨタ・モーター・マネジメント・サービス・シンガポール(TMSS)が担ってきた。同社は2001年に社名をトヨタ・モーター・アジア・パシフィック(TMAP、現・TMAP-MS)に変更し、体制を拡充した。経済的な統合が進む東南アジア諸国連合(ASEAN)域内での各事業体に対するサポートの強化を目的として、車両営業やマーケティング、アフターサービスの支援、各国ディストリビューター向け教育、さらに域内外の完成車や補給部品などの輸出入業務を担った。

1990年代後半以降、急速にグローバル化が進展し、世界各地域で生産分野での人材育成が急務となるなか、トヨタでは2003年に元町工場内にグローバル生産推進センター(GPC:Global Production Center)を設立した。GPCは、世界の主要地域へのブランチ展開に着手し、アジアでは、2005年にトヨタ・モーター・タイランド(TMT)内にアジア・パシフィック生産推進センター(AP-GPC)を開設した。同センターはまずタイ国内のスタッフを対象に育成を始め、2006年8月からはアジア全域のトレーニングセンターとしての役割を担った。

また、同年7月にはAP-GPCの運営や、生産・調達・物流関係の分野でアジア各国の生産事業体への支援を担うトヨタ・モーター・アジア・パシフィック(TMAP-タイ)を、TMT内に設置した。これにより、シンガポールのTMAP-MSとともに、生産・販売それぞれの分野で支援体制を構築した。

研究開発分野では、米欧につぐ海外3地域目の現地開発拠点として、2003年にトヨタ・テクニカル・センター・アジア・パシフィック・タイ(TTCAP-タイ)を設立し、2005年から事業を開始した。アジア地域のテイストを反映したボデー、専用仕様の開発をタイで行うことで、現地ニーズを反映する開発体制を整えた。

2007年にはTMAP-タイとTTCAP-タイを統合し、トヨタ・モーター・アジア・パシフィック・エンジニアリング・アンド・マニュファクチャリング(TMAP-EM)を設立した。新会社の役割は、アジア地域での開発から生産準備、生産、調達、物流に至る業務の一体化を推進し、各生産事業体のオペレーション強化と、いっそうの現地化を支援することであった。さらに、TMAP-MSと連携し、アジア地域での製販一体による自立を促進する体制とした。

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