第2節 欧州事業の自立化

第2項 ヨーロッパテイストの商品投入

欧州への商品投入は、イギリスのトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・UK(TMUK)生産のカリーナEをはじめ、日本や米国向けに開発された商品を欧州向けに変更したモデルであった。そこで1998年のカリーナEのモデルチェンジを機にアベンシスと車名を変更し、さらに2003年のモデルチェンジでは欧州向けモデルとして発展させた。また、1999年にヤリス(日本名ヴィッツ)を発売するなど欧州市場に最適なモデルの開発・導入に努めた。

なかでも、現地でデザインされたヤリスについては、積極的なマーケティング活動を展開した。トヨタ・モーター・マーケティング・ヨーロッパ(TMME)が1999年にスペインのバルセロナで開催した「第1回汎欧ディーラー大会」では、トヨタの経営首脳がヤリスの拡販を呼びかけた。また、ヤリスの市場ポテンシャルが高いイタリアでは、オピニオンリーダーを招いた新車発表会をミラノで開催するなど、大規模な広告キャンペーンを実施した。さらに各国で試乗に重点を置いたマーケティング活動を展開し、これらの成果としてヤリスは計画を大幅に上回る販売成績をあげ、1999年にトヨタ車で初めて「2000年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。その5年後、ハイブリッド車のプリウスも同賞に輝き、欧州市場でのトヨタの環境イメージ向上に貢献した。

一方、1990年に欧州市場に投入したレクサスは、プレミアム市場でのセダン系乗用車の販売減少や、ディーゼル化の進展といった市場特性に適合できず、苦戦を強いられた。そのため2005~07年に「販売網強化」「ブランド認知度向上」「さらなるCS向上」の3点を重点項目とする「レクサスチャレンジプラン」を作成し、ブランドの再構築に取り組んだ。このうち、ブランド認知度の向上については、「ハイブリッドを中心にした革新技術」「日本文化を背景にした"L-finesse"1デザイン」「運転する喜び」などに焦点を絞り、汎欧統一広告宣伝・広報活動を展開した。その結果、ブランド認知度は、2004年の3%から、2006年には6%へと向上した。これらの積極的な拡販策と、レクサスISおよびRXの新規導入により販売は着実に伸長し、1997年の3,500台から2006年には5万700台へと拡大した。

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