第3節 品質問題

第3項 新たな品質保証体制の構築

情報収集力の強化

2010(平成22)年度のスタートとともに、トヨタと世界各地域の事業体は、同年度グローバル会社方針に掲げられた「お客様からの信頼回復」の実現に向け、2010年3月30日の第1回「グローバル品質特別委員会」で打ち出された新たな品質保証体制の構築へ向け、動き出した。

従来、トヨタの品質基準は、法令遵守はもとより、技術的に高い次元でこれをクリアすることを基本に定められてきたが、新たな体制づくりでは、お客様の不安解消といった視点にも重きを置くこととした。ハード面でのさらなる「安全」の追求に加え、「安心感」という分野への取り組みも強化してお客様の期待や要望に応えていくという考え方である。

グローバル品質特別委員会で示された指針のうち、まず「情報収集力の強化」については、2010年度から米国で「SMART隊(Swift Market Analysis Response Team)」の活動が本格化した。これは、お客様や販売店から収集した安全にかかわる情報を分析し、スピード重視で原則24時間以内に技術スタッフがお客様とコンタクトを試みる活動である。SMART隊は、指摘された現象の再現・確認のほか、必要に応じて車両運行状況を知る手がかりとなるデータの収集や部品回収なども行うようにした。

加えて、サービスや開発、品質管理分野の専門スタッフ数人で構成し、情報収集拠点となる「サービス技術分室」についても、日本での拡充に加え、海外でも新設を進めた。2010年以降、北米全体で拠点を1カ所から7カ所に拡充し、中国では6カ所、欧州では1カ所を設立し、その後も順次拡充中である。中近東や中南米では駐在員事務所の強化で分室機能を配備した。これにより、安全に関する事象に対して、現地現物で迅速な調査や分析が行える体制が強化 された。

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