第3節 「第2の創業」―社内改革の推進

第3項 改革運動の展開

「BR組織」の導入

バブル崩壊に伴う国内不況と円高による収益悪化への対応のため、1990年代初頭には短期・中長期の収益対策プロジェクトが社内の各部署で展開された。しかし、社内横断的な課題も多く、組織を超えた業務遂行体制や既存業務見直しの必要性が高まった。そこで経験豊かな人材を時限的に重点配置し、将来につながる業務改革と人材の有効活用を図る仕組みとして、1993(平成5)年7月に事務部門を対象に「BR(Business Reform)組織」を導入した。

BR組織が取り組むプロジェクトのテーマは、①直近の収益対策と円高対応、②業務およびマネジメントシステムの改革、③中長期政策・戦略の立案の3項目を軸とした。各部門から寄せられたテーマは全社、部門、部内の3階層に分け、全社テーマと部門テーマについては専務会の承認を受けるトップダウンテーマと位置づけた。当初、取り上げられたテーマは、全社が12項目、部門が61項目であった。

また、既存業務の「30%削減」を活動目標に掲げ、その実現により生まれる余力を新規・重要課題への取り組みや、時短の推進に振り向けることとした。この業務削減の対象組織ではチャレンジとして2割程度をBRに配置し、残り8割の人員で既存業務に対応することとした。そのほか既存業務効率化の一環として業務量削減の目標を紙の消費量で示した「30%ペーパーレス」活動も展開した。

1994年からは技術・生産技術部門にもBRを拡大し、生産現場を除く全社あげての活動となった。BRは人員を先行して既存組織から分離するため、既存業務の効率化に大きな成果をもたらした。これに伴い、間接要員のスリム化が可能であるとの社内認識も浸透していった。また、長期ビジョンの策定など組織を超えた課題にもBRの活用が効果的なことが認識された。BRは業務を機動的に推進するうえで有用な組織形態であり、その後も広く活用されている。

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