第4節 新規事業への取り組み

第4項 マリン事業・エアロ事業への取り組み

マリン事業については、1990(平成2)年2月に事業開発部内にマリン事業企画室を設置し、豊田自動織機、アイシン精機、デンソーなどグループ各社の協力を得ながら、事業化調査を開始した。その結果、1991年に高性能自動車エンジンをベースにしたマリンエンジンの採用によるプレジャーボートの研究開発に着手することとなった。1992年には艇長27フィート(約8m)級で、リサイクル可能なアルミ製ハル(船体)を採用したプロトタイプを製作した。またこの時期には、愛知県からの要請もあり、蒲郡海洋開発を設立するなど、海洋リゾート事業への参画も進めた。

1994年からは28フィートの先行艇2艇による性能評価を始め、生産については1996年にニュージーランドの2社と契約するなど、事業化への体制を整えていった。同年の副社長会に事業化を正式提案し、非自動車部門で売上高10%を確保するための一翼を担うなどとした基本方針が承認された。翌1997年1月にマリン事業部が発足、2月には「ポーナム28」を東京国際ボートショーで発表した。

1998年には東京、名古屋、大阪に営業所を開設するとともに、全国16社の販売店と契約を締結し、販売体制を整えた。商品ラインの拡充も図り、1999年に26フィートと37フィート艇を投入1 したほか、同時期にはマリンエンジンの販売にも本格着手した。

2002年からは生産委託先を国内2社に変更するとともに、2005年10月に「海のレクサス」を目指したフラッグシップの「ポーナム45」を発表し、計画を大きく上回る受注を獲得した。2006年度のボート販売は過去最高の93隻となり、2010年度には累計700隻を達成した。2また、2011年9月には「28」シリーズと「45」の中間に位置する「ポーナム35」を市場投入した。

エアロ事業では、輸入拡大への自主取り組みの一環として、1988(昭和63)年に日本フライングサービスに資本参加し、小型機の販売事業に乗り出した。1991年にはエアロ事業企画室を設置し、将来の小型機普及に備え、操縦士の養成や専用飛行場が必要との判断から北海道鹿部町に鹿部飛行場を建設、1992年9月に運用開始した。同年には、その業務・管理を行う会社として、日本航空との共同出資でエアフライトジャパンを設立した。また、1997年には当時の西武百貨店から朝日航洋の株式を譲り受け、経営に参画し、以降、ヘリコプターやビジネスジェットの社内運航を朝日航洋に委託している。

こうした「空」のサービス事業の展開を図る一方、エンジンを含む小型機の開発も進めた。1993年には東富士研究所が米国企業と共同で、世界初となる電子制御のエアロピストンエンジンの開発に着手し、1995年には型式認証、1996年には製造認証を取得した。機体については1994年から米国トヨタ(TMS)に開発拠点を設置して調査を始め、共同で同社を中心に4座機の開発を推進した結果、2002年には初飛行に成功した。ただし、小型機の開発においてはトヨタの技術力を示すことはできたものの、市場性などから事業化には至っていない。

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