全社対策本部の設置と被災地への緊急対応

「トヨタグローバルビジョン」発表の2日後、2011(平成23)年3月11日午後2時46分、宮城県三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生した。死者・行方不明者1万9,009人(2012年3月11日現在、警察庁調べ)と、未曾有の大災害となった東日本大震災である。地震発生から数十分後には巨大津波が東日本沿岸を次々と襲い、とりわけ岩手、宮城、福島3県の被害は甚大となった。津波と地震による電源喪失などにより、東京電力の福島第1原子力発電所では緊急炉心冷却システムが停止した。翌12日以降、相次ぐ原子炉建屋内での水素爆発などによって放射性物質が放出され、日本の原発としては最悪の事故につながった。

トヨタ関係の生産拠点ではセントラル自動車宮城工場、関東自動車工業岩手工場、トヨタ自動車東北で一部設備が損壊したものの、被害は比較的軽微に済んだ。しかし販売店では全壊12店舗を含む約450店舗に被害が及び、また、港湾設備の水没による完成車両の被災は1,791台となった。

トヨタでは地震発生直後に緊急対策会議を開いて即座に全社対策本部を設置し、①人命第一・救援最優先、②被災地域の早期復興、③生産復旧、という優先順位を定めた。同時に、調達、生産など機能別の各本部に震災対策本部を置く一方、本社以外でも、名古屋、東京など各地域に対策本部を設置し、テレビ会議システムによる情報一元化の体制を構築した。

発生翌日の12日には車体メーカーおよび仕入先を含む従業員の安全確保や家族の安否確認を最優先するため、翌週初めの14日から国内のトヨタおよび車体メーカーの全工場の操業停止を決定した。同日には仕入先など協力企業や販売店とともに緊急支援物資の輸送を開始するとともに、トヨタ社員60人による緊急支援チームを被災地に派遣した。

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