第2節 創立50周年と円高への対応

第3項 組織・人事制度の改革

ピラミッド型組織の見直し

1980年代末になると、トヨタにも大企業病の影が忍び寄りつつあった。組織の肥大化や硬直化が懸念され、その対策として人事制度や開発体制の改革を相次いで実行していった。

1980(昭和55)年のトヨタの工販合計の従業員数は5万1,200人であったが、合併3年後の1985年には6万1,700人と2割増加した。組織は細分化されながら全体として肥大化していき、1980年代後半にはやがて課長など役職者のポストが不足することも明らかになってきた。人事部門は全社の各部門を巻き込みながら組織・人事制度の抜本改革を検討し、1989(平成元)年8月に事務・技術部門で「フラット化」と呼ばれる新制度を導入した。

それまでトヨタが採用していた「部・課・係」のピラミッド型組織は、チェック機能によるミスの防止や組織としての一体感の醸成、部下の育成などにも適し、トヨタの発展を支える重要な基盤であった。しかし、お客様のニーズの多様化など市場の変化に対応するには、組織横断的な業務や創造性が求められる業務が増大しており、ピラミッド型での即応は難しくなっていた。

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