第2節 創立50周年と円高への対応

第3項 組織・人事制度の改革

フラット化の推進

フラット化により「係」を廃止するとともに、複数の課を大くくりして「室」とし、「部・室」による2階層組織に簡素化した。同時に副部長、副課長など重層的に存在していたポストを廃止し、部長や室長、スタッフリーダーなどの組織の長は「マネージャー職」と定義して必ず1人にした。同時に、マネージャー職以外の主査や主担当員は「スタッフ職」と定義した。これにより、課レベルの組織数は758から629に縮減され、部長の下の意思決定層であった副課長以上の役職者は約1,800人から900人へと半減した。残りの900人はスタッフ職として実務を支える体制としたが、これらの社員への配慮から、1987(昭和62)年に導入していた職能資格制度を見直して「参事1級」を「部長級」、「参事2級」を「次長級」など、「職位」に近いイメージの名称に改めた。また、フラット化と同時に社内の風通しを良くし、改革をまず職場レベルで定着させるねらいとして名前のあとに職位を付けない「さんづけ」運動を展開した。

フラット化の下地をつくるため、新制度の導入に先立つ1988年からは「ハンコ3つ運動」を展開した。意思決定の迅速化や権限の委譲などを推進するためで、ハンコは「起案者」「審議者」「確認者」の原則3段階に簡素化された。すべての決裁書や帳票類を見直し、1年後には決裁書のうち約7割はハンコが3つ以内となった。

事務・技術部門でのフラット化の導入後は、新しい組織体制を業務改革へとつなげる取り組みが活発化した。1991年4月~92年末には管理・営業部門78部署の約7,000人を対象に、「NOW21」(ニュー・オフィス・ウェイ21)」の活動が展開された。若手社員の有志9人が事務局となって「自分のために変える、まわりを変える」をスローガンに、各部署が固有のテーマを選んで草の根レベルでいきいきとした職場風土づくりや部内業務の改善に取り組んだ。

事務・技術部門に続いて、1991年2月には生産現場の技能員に対して新人事制度を導入した。技能系の職場でも組織の細分化・肥大化、職制ポストの不足といった問題の発生が予測されたからである。新制度では、工長・組長・班長という管理監督者の職位は残しながら、新たに「専門技能職」と呼ぶ3段階の職位を新設した。工長は「専門技能職CX」、組長は「同SX」、班長は「同EX」にそれぞれ対応する名称とした。

専門技能職の導入と同時に自己の成長や仕事の達成感を味わえる環境づくりの一環として、「専門技能修得制度」を創設した。OJTや職場ローテーションのなかで技術・技能を磨き、仕事の幅を広げてもらう認定制度として運用を始めた。技能員の人事制度についてはその後も逐次改正を図り、1997年1月には班長制を廃止するとともに、工長、組長をそれぞれCL(チーフリーダー)、GL(グループリーダー)と呼称変更するなどの見直しを行った。

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