第2節 環境・安全問題への対応

第1項 環境問題への全社取り組み

環境部の発足

こうしたトヨタのいち早い地球環境問題への取り組みは、徐々に環境企業としてのイメージを高めることにつながっていった。斬新な企業広告の展開もイメージの確立を後押しした。環境広告では、動物と自由に話しができる「ドリトル先生」が動物とクルマや地球について考える1990(平成2)~91年のシリーズが注目を集めた。1997年末にはハイブリッド車「プリウス」の発売を控えていたこともあり、環境に関する情報発信に集中的に取り組んだ。

一つは、年間を通じた企業広告キャンペーン「トヨタ・エコプロジェクト」である。年20回を超える新聞広告などで、地球温暖化問題の啓発やトヨタの具体的な取り組み姿勢を紹介した。キャッチコピーの「ECO.あしたのために、いまやろう。」は、企業イメージの向上だけでなく、オールトヨタ内の意識改革を促す効果ももたらした。

もう一つは、1997年7月に初めて開催した「トヨタ環境フォーラム」であり、この席上、奥田碩社長は「持続可能な成長」というコンセプトこそ今後のトヨタが進むべき方向であること、そして、そうした観点から「地球環境の保全」をトヨタの最重要課題の一つと位置づけ、いっそう積極的に取り組んでいくという姿勢を強調した。トヨタ環境フォーラムはトップ自らが環境への方針を語る場として報道機関からも注目され、その後も継続的に開催されている。

環境活動が全社横断的に推進され、さらにグローバルな広がりをみせるなか、1998年1月には活動を企画・統括する専任部署として社長直轄の環境部が発足した。諸課題への対応方針の策定から、渉外活動や情報発信に至るまでの環境活動を統括しながら、オールトヨタの環境への取り組みに対する方向づけも担っている。

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