第9節 量産量販に向けての準備

第4項 アジア諸国への進出

タイ・トヨタの設立

1957(昭和32)年6月16日、タイのバンコク市にトヨタ自販のバンコク支店が開設された。トヨタ自販では、それまでに特約店を3回代えていたが、いずれも個人商店の域を出ない弱小販売店であったことから、販売台数が伸びなかった。そこで、タイでの市場確立を目指し、自社の支店を設置したのである。三井銀行バンコク支店の協力による豊富な資金を背景に、積極的な販売活動を展開した結果、1957年の販売台数は前年比8倍強に達し、以後順調に業績は伸長した。

一方、タイ政府は工業振興のため、「産業投資奨励法」を再三にわたって改正し、1962年にはノックダウン生産事業に対して、5年間の大幅な優遇税制措置や、技術者入国ビザ認可枠の拡大などの恩典を設けた。これを受けて、トヨタ自工とトヨタ自販は、タイへのノックダウン生産事業の進出を決定し、1962年10月に両社の折半出資により、トヨタ・モーター・タイランド(Toyota Motor Thailand Co., Ltd. タイ・トヨタ)を設立した。

1967年にはトヨタ自販のバンコク支店をタイ・トヨタに統合し、生産・販売を統一した。これらの施策により、1969年のタイ向け輸出台数は1万700台へと増加し、同国でのシェアは22%に上昇して首位に立った。

さらに、1969年8月には日野自動車工業との業務提携に基づく協力事業として、タイ日野製造におけるカローラの委託組立生産を開始した。また、同年12月にトヨタ総合センターを設置し、輸入、販売、アフターサービスの体制を充実させたほか、1970年7月には組立工場を拡充した。

その後も、日野自動車工業やトヨタ車体の協力のもと、プレス部品を中心に現地生産の拡大を図った。その一環として、1978年2月にはタイ・トヨタ100%出資のトヨタ・オート・ボデー・タイランド(Toyota Auto Body Thailand)を設立し、ハイラックス、コロナ、カローラのプレス部品の製造を開始した。

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