「トヨタグローバルビジョン2020」の策定

2005(平成17)年6月、トヨタのグローバル化をリードしてきた張富士夫社長が副会長に就き、渡辺捷昭副社長が社長に就任するトップ交代が行われた。渡辺社長は、就任後の記者会見で、海外生産の急拡大に対処した「足元固め」を課題に掲げ、「開発、生産から販売に至る流れのなかで、モノづくりの基盤を強化したい」と語った。また、「成長期には問題点が見えなくなりやすい。驕りや慢心を戒め、問題点を顕在化させるようにしたい」と抱負を述べた。

創立70周年を迎えた2007年には、新たな長期ビジョン「トヨタグローバルビジョン2020」を策定した。同ビジョンは、「人と技術の力で明日の世界を切り開く」をキーワードに、①モノづくりと自然循環との調和へ、②今、創業の精神に立ち返るとき、③トヨタは3つのシンカ(進化・深化・真価)を追求する、④目指すのは町いちばんの企業であることなど、を掲げ、地球規模の環境・エネルギー問題などに対処しながら、「地球の一員」また「社会の一員」として役に立つ存在を目指すこととした。

さらに、2007年にはCSR活動の指針である「持続可能な発展への貢献」をブレークダウンし、「3つのサステイナビリティ(持続可能な成長)」を打ち出し、広く社会へ発信していった。「3つのサステイナビリティ」とは、「研究開発」「モノづくり」「社会貢献」という切り口から持続可能な成長を目指したもので、具体策としては、地球と共生できる車両や交通システムの開発、自然との調和を目指した工場(サステイナブル・プラント)、植林といった社会貢献活動の推進、などが掲げられた。渡辺社長は、2008年6月に東京で開かれた「トヨタ環境フォーラム」の席上、3つのサステイナビリティを例示したうえで、「地球温暖化とエネルギー問題への対応を強化し『豊かな低炭素社会』の実現に貢献すべくチャレンジする」と表明した。

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