第2節 交通事故増加への対応

第2項 国内外における車両安全基準の強化

第1節で述べたとおり、1966(昭和41)年に米国で「国家交通・自動車安全法」が制定された。この法律に基づき1967年にFMVSS(連邦自動車安全基準)120項目が公布され、翌1968年1月から施行された。車両安全についてのルール化が行われたのである。

このため、米国向けの輸出車は1968年1月より全乗員席にシートベルトの装備が義務づけられ、同時にエネルギー吸収ステアリング2の装備、ステアリングの後方突き出しの制限、インストルメントパネル、シートバック、サンバイザー、アームレスト、ドア内側などをエネルギー吸収材で覆うことなど、FMVSSの20項目の規制を満たすことが必要となった。FMVSSは、その後も充実・強化されていった。

1967年に米国で公布されたFMVSSを受けて、日本では運輸省が1968年2月に「自動車安全基準」を発表し、同年7月には運輸省令「道路運送車両の保安基準」を改正し、安全対策関連では12項目につき規制が強化された。3改正後の「道路運送車両の保安基準」は、翌年4月から実施された。

さらに、1972年9月に、運輸大臣の諮問機関である運輸技術審議会が「自動車の安全確保のための技術的方策について―自動車安全基準拡充強化目標」と題する答申を行った。

この答申は、警察庁、日本道路公団、および自動車技術会の事故調査結果の解析や諸外国の自動車安全基準に関する調査結果に基づき、事故防止に必要不可欠な自動車の構造面からの安全対策を示したものである。基本対策は事故回避対策(視認特性・運転特性など)、被害軽減対策(乗員保護・歩行者保護・車体など)、火災防止対策の3つからなっていた。

運輸省はこの答申をベースに具体的な安全基準を決めて、1973年に「道路運送車両の保安基準」を改正し、安全規制を強化していった。

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