第7節 設備近代化

第5項 トランスファーマシンの導入

「設備近代化5カ年計画」を推進する過程で、超硬合金工具(刃具)を安定的に入手・使用できるようになり、工作機械の加工速度が飛躍的に高まると同時に、能率の大幅な向上が実現した。

このような工具・工作機械の高性能化と並行して、自動化を目指した工作機械の配列方法も大きく変化し、トランスファーマシンが登場した。トランスファーマシンとは、自動化された専用機を加工順に配置し、工作物を自動的に移送するトランスファー装置によって各専用機間を連結した機械設備である。

その研究のため、豊田工機とトヨタ自工は、1954(昭和29)年8月5日付で通産省の工業化試験補助金(工作機械等試作補助金)800万円の交付を受け、「自動車エンジン用トランスファーマシン」の研究製作に共同で着手した。1956年3月には国産第1号のトランスファーマシンが完成し、機番TR1(トランスファーマシン1号機)として、6月から挙母工場機械工場で稼働を開始した。

この設備は、6気筒F型エンジン・シリンダーブロックのリフター穴加工に用いられた。リフター穴や各種取付ネジ穴を8加工ステーションで連続加工できるなど、優れた性能を持ち、増産と合理化に大いに貢献した。

その後、トランスファーマシンの改良と導入は着実に進み、トランスファーマシン間の工作物搬送制御に、トヨタ生産方式の考え方を組み込むことも行われた。例えば、つくり過ぎのムダを防止するため、後工程で加工待ち工作物の個数が所定量に達すると、前工程の加工を停止するフルワーク制御を考案・実用化した。同様に、ストック・コンベア上の工作物が一定量に達すると、前工程からの供給を停止するプールオーバー制御なども開発された。

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