「トヨタの森」活動とボランティア支援

トヨタは、1935(昭和10)年制定の豊田綱領にうたわれる「産業報国」や「報恩感謝」を精神的な支柱として、さまざまな社会貢献活動に取り組んできた。

好況もあって、1980年代後半には社会的要請として企業の社会貢献活動への期待が一段と高まっていた。トヨタでは、1989(平成元)年12月に豊田章一郎社長を委員長とする「社会貢献活動委員会」を設置し、経営トップ層が積極的に活動方針の決定に関与する体制とした。翌1990年には経済団体連合会(現・日本経済団体連合会)が経常利益の1%を目途に、社会貢献活動に拠出する「1%クラブ」を設立したことを受け、トヨタもこれに参画して、多彩なプログラムを推進する契機とした。

地球環境分野では、1992年に「トヨタの森」計画を策定し、環境改善や森林資源の有効利用を促す取り組みに着手した。「トヨタの森」とは、豊田市にある総合余暇施設のフォレスタヒルズ内で、都市近郊林の活性化を目指す活動である。1997年に15ヘクタールのモデル林を開設し、「エコの森セミナー」「親子森遊びプログラム」などを開催した。その後、2008年7月には30ヘクタールの実証林が竣工している。

また、社員のボランティア意識の高まりを受け、1993年には総務部付の組織としてトヨタボランティアセンターを設置した。トヨタの退職者や社員の家族も参加できる制度とし、地域の清掃や災害時の復興のほか、視覚障がい者と一緒になって「豊田おいでんまつり」の総おどりへ参加するなど、活動の範囲を広げていった。

2001年からトヨタのバイオ・緑化事業部などが中国で開始した砂漠化防止プロジェクトの植林にも、2006年以降、社員ボランティアが参加を始めた。1990年代後半から同部が中心になって豪州で展開してきた植林のノウハウを活かし、中国でも展開を開始していたものである。この植林活動に参加したボランティアは、2010年までにトヨタ自動車(中国)投資有限会社(TMCI)と日本のトヨタ社員を合わせ累計600人以上となった。2007年から活動の場をフィリピンに広げていた植林プロジェクトにおいても、2010年以降、ボランティア活動を展開した。2012年までの3年間で、トヨタの社員と家族、トヨタ・モーター・フィリピン(TMP)と共同で、合計約3,800本の苗木を植えている。

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