アジア通貨危機の発生

1997(平成9)年7月のタイ・バーツ暴落に端を発したアジア通貨危機は、瞬く間に周辺諸国に波及し、各国経済はマイナス成長に落ち込んだ。1998年の東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の自動車市場は、タイがピークであった1996年比で約24%、フィリピンが同約50%、インドネシアがピークであった1997年比で約15%、マレーシアが同約41%にまで激減した。1

トヨタでは、通貨危機直後から2000年末まで、車両小売価格を段階的に引き上げて収益の確保を図る一方、各国ディストリビューターの低金利キャンペーンなどによる増販施策、部品の期間限定値下げによるサービス入庫促進キャンペーンを支援した。また、ASEANの7カ国の事業体に対して増資を行うなど、財務体質の強化も進めた。

アジア通貨危機後、各国の経済成長率は1998年を底に翌年から回復に向かったが、為替の安定を目的とする高金利政策が続き、自動車市場は低迷を続けた。しかし、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンの総需要は2001年に140万台を記録し、翌年には、通貨危機以前のピークであった1996年の144万台を上回る168万台に回復した。

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