ソルーナ、ヴィオスの発売―タイほか

アジア通貨危機の激震は、それまで自国市場を中心に発展してきた自動車産業が、従来に増して域内外からの完成車・部品の輸出攻勢に耐えなくてはならない状況をもたらした。トヨタでは、アジアテイストの専用乗用車の開発・投入を加速させるとともに、汎アジアキャンペーンなどの販促活動を強化していった。

まず、1997(平成9)年にはタイでアジア専用乗用車のソルーナを発売した。同モデルの商品開発はトヨタ・モーター・タイランド(TMT)との共同で進められ、お客様の要望を幅広く設計・デザインに取り入れた。中間所得層が購入可能な価格設定としたこともあって、発売と同時に好評を博した。しかし、直後の通貨危機とその後の不況の影響で、アジア向け乗用車としての先兵役を十分果たせないまま、モデルライフの終了を余儀なくされた。

2001年には初の試みとして、カローラアルティスを各国ほぼ同時に立ち上げた。同モデルの開発に際しては、アジアで定着していたカローラの高級車イメージに、現地テイストのデザインを随所に取り入れた。「Break into Style」をキャッチフレーズに、ハリウッドスターのブラッド・ピットを起用し、汎アジア統一キャンペーンを行った。翌年はカムリによる6カ国統一キャンペーンも展開した。

続いて、2002年にソルーナの後継となるヴィオスをタイで発売したのを手始めに、2003年には東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国および台湾など8カ国・地域の市場に投入した。こうしたアジア専用乗用車の投入と、各国ディストリビューターのディーラー向け商品教育の強化が奏功し、トヨタ車のシェア拡大につながった。

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