コンパクトカー市場などでの新たな取り組み

小型車では、1999(平成11)年1月に新型2ボックスのヴィッツを国内市場に投入した。ヴィッツは、21世紀のワールドコンパクトカー市場の頂点を目指し、1996年に「ニューベーシックカー・プロジェクト」として開発に着手していた。開発当初の目標は、①環境、安全、走行、居住の各性能で国内外の同クラス車を凌駕すること、②性能・価格競争力を両立させる技術を確立すること、の2点であった。

ヴィッツは、1998年8月に新発足したネッツ店の専売車種として、発売1カ月で目標の2倍を超える2万200台を受注するなど、同チャネルの中核車種となった。海外では「ヤリス」の名称で、2001年からトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)で生産が始まり、ワールドカーとして地歩を固めていった。

2ボックスコンパクト車の市場では2000年以降、本田技研工業のフィットなどが発売され、市場の拡大と多様化が進んだ。トヨタでは、2002年にプレミアム感を打ち出したイスト、2004年には低価格でトールデザインのポルテなどを投入し、ラインアップの拡充を図った。

一方、女性を強く意識した商品開発や、販売手法も活発に展開した。1998年5月発売のミニバン「ガイア」では、子育てファミリー層に焦点を絞り、「奥様」へのアピールを強化するため、平日の日中にテレビCMを放映したほか、女性誌とタイアップしたモニターキャンペーンなどを行った。また、同年9月にダイハツ工業からのOEMで売り出したデュエットは、「かわいいフリして、わりとやる」のキャッチコピーで、レトロ感のあるデザインと使いやすさを女性層に訴えた。

デュエットを発売した1998年9月には、ダイハツ工業への出資比率を51.2%に引き上げ、連結対象子会社として連携をいっそう強化した。2001年以降、ダイハツの商品企画部の若手スタッフを受け入れる人材交流も始め、パッソ(ダイハツ名「ブーン」)、ラッシュ(同「ビーゴ」)といったダイハツの新たな小型車分野の開発につなげるなど、相乗効果を引き出していった。

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