第5節 中南米・アフリカ・中近東地域

第1項 市場の成長・広がりへの対応

一体化する中南米市場

中南米地域の自動車市場は、2000(平成12)年以降、エネルギー・鉱物資源や穀物などの高騰による経済成長と、南米南部共同市場(メルコスール)、アンデス共同体(CAN)といった地域経済連携の拡大を背景に、成長のピッチを速めてきた。

メルコスールは、2000年に自動車、砂糖を除いて域内関税を撤廃するなど、2006年の域内完全自由化を目指し、またCANも、ペルーが関税撤廃に踏み切ったことで自由貿易圏が構築された。こうした動きに対応するため、トヨタでは、2003年にブラジルトヨタ(TDB)とアルゼンチントヨタ(TASA)を機能統括するバーチャル組織として「メルコスールトヨタ」を設置した。ブラジルとアルゼンチンでの生産事業の本格化に伴い、調達、製造、販売および管理業務などを一体管理・運営することにより、中南米地域での最適かつ柔軟なオペレーション展開の体制を整えるためであった。

メルコスールトヨタを設けた当時の中南米では、経済圏同士による結合の動きも活発化した。2005年にはメルコスールとCANに加盟する各国が自由貿易協定(FTA)を締結し、CAN各国はメルコスールの準加盟国となった。一方、2003年にはメルコスールとメキシコとの間の自動車協定が発効し、メルコスールの4カ国とメキシコは、それぞれ2国間FTAを結んだ。

こうして、メルコスールは域内にとどまらず、北米自由貿易協定(NAFTA)の一員であるメキシコを含めた汎中南米での自動車・部品の自由貿易圏へと拡大していった。トヨタでも汎中南米地域を視野に入れ、エリアマーケティング活動を強化するため、2002年から各国ディストリビューターの実務担当者によるワークショップを定例化した。さらに、ディストリビューター出身の人材を地域専従トレーナーに養成するとともに、エリアマーケティング活動の一環として、2003年に教育分科会、2006年には広告・広報活動分野の地域協議会を発足させた。

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