第2節 欧州事業の自立化

第1項 市場の停滞と販売強化策の推進

販売台数の伸び悩み

1990年代前半には湾岸戦争やユーゴ紛争、さらに欧州通貨危機が発生し、これらによる経済不況の影響で、欧州の自動車市場は急速に収縮した。その結果、1993(平成5)年には欧州での新車販売は1,460万台まで落ち込み、とりわけ西欧市場は1,250万台と、それまでの20年間で最低レベルとなった。その後、西欧市場は1,600万台程度でほぼ安定的に推移し、2004年からは急激な成長を遂げたロシアをはじめとする東欧市場の拡大により、2007年には欧州全域で過去最高の2,240万台を記録した。

しかし、2008年9月のリーマン・ショックの影響を受け、欧州市場も大きく落ち込んだ。ロシアではその影響がやや遅れて現われたものの、2009年に入ると大幅な販売台数の減少に見舞われた。欧州各国の政府はスクラップインセンティブ1を中心とした需要刺激策を展開し、急激な市場の縮小に対応したが、欧州市場全体では、2009年に1,852万台(2007年比18%減)へと減少した。さらに、ギリシャの財政危機問題も生じ、2010年に入っても欧州の自動車市場は停滞した。

トヨタ車の販売は、1999年まで日本車の輸出自主規制措置や、現地での輸入監視制度が続いたのに加え、1993~95年には円高の影響もあって低迷し、1997年にようやく50万台を超えるという状況であった。なお、翌年にトヨタは欧州市場で日産自動車を抜き、日本車の販売台数でトップに立った。

その後、ロシア市場の拡大もあり、2007年までトヨタ車は11年連続で販売記録を更新した。しかし、リーマン・ショックの影響は大きく、トヨタの販売も2007年の124万台に対し、2008年は112万台にとどまって12年連続の新記録は達成できなかった。

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