第4節 グローバルビジョン

第2項 経営体制の刷新

グローバルビジョン達成に向けた取り組みでは、「地域主導」による経営の推進も打ち出された。世界各地域でお客様に一番近いところで判断を下し、それぞれの地域に根ざした企業活動をより重視するためである。日本の本社は大きな方向性を示し、各地域の主体的な事業活動をサポートする体制をとる。そしてビジョン実現のための具体的な実施事項や経営計画などの「地域ミッション」は各地域が主導しながら策定する方針とした。

ビジョンの発表と同時に、その推進を図る役員体制の変更も決定、2011年4月から6月にかけて順次実施した。大幅な刷新は2003年以来であり、お客様の声や現場の情報を迅速に経営陣に伝え、そうした情報をもとにスピーディかつ社会に受け入れられる経営判断を下すことを主眼に置いた。取締役は27人から11人へ一段のスリム化を図るとともに、専務取締役は廃止して「専務役員」を新設し、役員総数を77人から60人に削減した。

各地域や機能の本部長は専務役員や常務役員が務めることとし、「何をするか」は取締役が判断し、「いかにするか」は本部長が担うという大幅な権限委譲を進めた。意思決定階層についても、従来の副社長-本部長-組織担当役員という3階層から、段階的に副社長-本部長という2階層に簡素化する取り組みを始めた。また、お客様に近いところで各地域が自ら判断できる仕組みを構築するため、海外の地域本部長は原則、現地に駐在する体制も取り入れた。

さらに社外の声を真摯に聴くため、北米、欧州、アジアの各地域にアドバイザリーボードを設置したほか、現場密着という観点からは、従業員身分による「常務理事」ポストも新たに導入した。新車開発のチーフエンジニアや各技術の領域長、工場長が現場でのマネジメントに専念できるようにするためのポストであり、2011 年4月にまず4人が任命された。

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