第1節 豊田佐吉の発明と考え

第2項 豊田佐吉の発明の概要

発明の内訳

豊田佐吉は、木製人力織機の発明で特許を取得したが、もともと目指していたのは、動力で作動する動力織機であった。

日本で最初の動力織機の発明は、1898(明治31)年8月に特許を取得した「織機」(特許第3173号)である。その特許に基づく製品「豊田式汽力織機」は、機械を構成するフレームが木製で、動力を伝達する歯車やシャフト類が鉄製という、木鉄混製動力織機であった。

佐吉が生涯に日本で取得した工業所有権は、特許権40件、実用新案権5件の総計45件にのぼる。また、「環状織機」1「経糸解舒(たていとかいじょ)及緊張装置」2「自動杼(ひ)換装置」(押上式)3などの日本特許8件を海外19カ国に出願し、延べ62件の外国特許権を得ている。4

工業所有権45件の内訳は、織機および織機の機構に関するものが38件と大部分を占めた。そのほか、糸繰返機5や管巻機などの織布準備用機器に関するものが4件、環状単流原動機(ロータリー式蒸気機関)に関するものが3件となっている。

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