第1節 バブル崩壊後の日本経済・国内市場

第2項 RV・コンパクトカーの快走

お客様嗜好の変化

1990(平成2)年に598万台(軽自動車を含むと777万台)に拡大した国内の新車(登録車)市場はバブル経済の崩壊とともに勢いを失い、1991年に575万台、1993年には489万台へと減少した。景気後退に伴う法人需要の低迷は著しく、自動車産業に打撃を与えた。

バブル崩壊後、個人のお客様の自動車に対する嗜好にも大きな変化が生じ始めていた。バブル期は高級車・大型車が全盛であり、タイプ別でもセダンが乗用車市場の7割程度と圧倒していたが、1991年ごろから三菱自動車工業のパジェロを筆頭にRVが若年層を中心にブームとなり、富士重工業のワゴン車レガシィなど、セダン以外の車が急速に販売を伸ばし始めた。その背景にはバブル崩壊を機に、「高級」でなく「個性」や「機能」を重視するニーズの変化があった。1994年に本田技研工業が投入したオデッセイは、爆発的な人気を呼び、その後のミニバンブームをリードしていった。

RVブームと並行して、低価格で実用性の高い登録車のコンパクトカーや軽自動車の需要も高まった。軽自動車は1990年1月の規格改定により全長が10cm長い3.3mに、排気量も550ccから660ccへと拡大されたこともあり、女性を中心に支持を得た。1990年には過去最高の180万台を記録し、その後1993年まで減少傾向で推移したものの、1994年に増加に転じて1995年には172万台にまで回復した。

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