第1節 バブル崩壊後の日本経済・国内市場

第2項 RV・コンパクトカーの快走

トヨタ車の苦戦

バブルが崩壊した時点で、トヨタ車でRVに属する車はハイエースワゴン、エスティマなどワンボックスワゴンが主体であり、品揃えは多くなかった。このためミニバンをはじめ、コンパクトカーを含む各サイズのワンボックスワゴンやSUVなどを相次いで市場投入し、RV市場での追撃を図った。例えば、1994(平成6)年にはSUVの初代RAV4を発売し、オフロードでの走行だけでなく街中をおしゃれに乗ることのできる新しいジャンルを開拓した。RAV4は、1996年発売のミニバン「イプサム」とともに、立ち上がりから幅広い層の人気を獲得した。

コンパクトカー需要の拡大に対しては、1994年にカローラⅡ、ターセル、コルサがモデルチェンジした際、90万円を切る低価格を前面に打ち出した広告を展開した。また、1995年の8代目カローラでも100万円以下の価格設定による優れた経済性をアピールしていった。

一方で長年、トヨタの主力であったセダンの「復権」にも取り組んだ。1996年にマークⅡ、チェイサー、クレスタとウィンダム、カリーナがモデルチェンジしたのを機に「セダン・イノベーション」と銘打ったキャンペーンを展開した。しかし、その後もセダン離れの傾向に歯止めはかからず、トヨタ車全体の国内シェアは1995年にはかろうじて40%台を維持したものの、1996年(39.7%)から1998年(39.4%)にかけては40%割れの苦戦を強いられた。

国内の登録車市場も1995~96年に増加に転じていたが、1997年4月の消費税率引き上げをきっかけに冷え込み始め、1999年には399万台にまで縮小した。同年のトヨタのシェアは41.7%と4年ぶりに40%台に復帰したものの、販売台数は目標を下回る166万台にとどまった。市場縮小がもはや一時的でないのは明白となり、トヨタとしても循環型市場のなかで収益力強化や新たな販売方法の確立に本格的に取り組むことになった。

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