第4節 中国地域への合弁進出

第2項 自動車生産の急増に対応

販売体制の整備

1990年代、トヨタの中国での事業は、日本からの完成車輸出が主体であった。1993(平成5)年には従来の商社ルートを整理するため、初のディストリビューターとして、トヨタ・モーター(チャイナ)株式会社(TMCL)を豊田通商との共同出資で設立した。当時は中国本土内に外国資本の貿易会社の設置が禁じられていたことから、香港での設立となった。TMCLは、トヨタ認定サービスステーション(TASS)や、トヨタ認定部品商(APD)などを傘下に収めるとともに、現地生産プロジェクトの本格化に向けて販売網の整備に注力し、のちの認定販売店の基礎を築いた。

天津トヨタ(現・天津一汽トヨタ自動車、TFTM)での生産開始を翌年に控えた2001年には、販売業務を統括するトヨタ自動車(中国)投資有限会社(TMCI)を北京に設立した。TMCIは天津トヨタ生産車のマーケティング機能も担った。

第一汽車との提携成立後、四川および天津での合弁生産が本格化したのに伴い、2003年に第一汽車との合弁で一汽トヨタ自販(FTMS)を設立した。これにより、一汽トヨタ系の合弁生産車両はFTMSが扱うこととなった。その後、2006年には広州トヨタ(現・広汽トヨタ自動車、GTMC)が生産を開始したが、同社の生産車両は自社で扱う体制がとられた。このため、中国での現地生産車は2つのチャネルで販売される体制が確立されていった。

一方、TMCIはレクサスおよびトヨタ両ブランドの輸入車の取扱いを目指したが、その認可には時間を要した。2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、徐々に外資開放の条件が緩和され、TMCIの最低資本金増資などを行った結果、2004年に同社は中国政府によりトヨタの「地域本部」として認められた。そして、2005年に公布・施行された「自動車ブランド販売実施管理弁法」により、TMCIは自動車分野の貿易および卸売の認可を受け、レクサスおよびトヨタ両ブランドの輸入車ディストリビューターとなった。これに伴い、香港のTMCLは同年末に任務を終え、TMCIにすべての業務を移管した。

このページの先頭へ