新流通システム「SLIM」

2009(平成21)年の世界の自動車産業は、米国のゼネラル・モーターズ(GM)社とクライスラー社が法的手続きにより再建に踏み出すなど、波乱の年であった。同年6月に新経営体制が発足したトヨタでは、赤字からの脱却という差し迫った重要課題に対処しながら、原点に立ち帰って中長期の成長につなげる諸施策を打ち出していった。

中国の広州汽車との合弁会社である広汽トヨタ自動車(GTMC)では、同年6月に生産・物流・販売からアフターサービスに至るまでを高度なIT活用で管理する新流通システム「SLIM」(Sales Logistics Integrated Management)が本格稼働した。2003年にタイの販売会社から導入が始まっていた販売管理システム「e-CRB」を発展させたものであり、生産からアフターサービスまでの各プロセスに存在する全車両をGTMCのモニター上で正確に把握するシステムである。

1台1台のプロセスを時々刻々と掌握することで不要な滞留を減らすだけでなく、店頭の在庫・販売情報を生産計画や販売店への配車計画に高頻度で反映させるリーンで効率的な流通につなげている。一方で専用端末が設置された販売店では一定期間を超える滞留車両や納車後のサービス時期などがモニターに明示され、適正な在庫管理やサービス管理をサポートしている。SLIMはGTMCでの評価を踏まえ、新興地域での展開を順次図っていく。

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