第5節 戦時下の研究と生産
第8項 各種自動車の試作
EA型小型乗用車の試作
1936(昭和11)年、東京帝大工学部助教授の隈部一雄がドイツで購入した小型乗用車DKW(前輪駆動車)が、芝浦の研究所に届けられた。豊田自動織機製作所自動車部では、この車を分解・スケッチして、図面を作成することとし、豊田英二がエンジンを、池永羆が足まわりやその他を担当した。そして、1937年6月ごろから刈谷の自動車組立工場の一角で、EA型小型乗用車として試作に取りかかった。
その後、組立工場が挙母工場へ移転したのに伴い、試作車は刈谷工場にしばらく放置されていたが、1940年に刈谷工場の電装工場でエンジン、シャシーを製作することになった。ボデーについては、同じく刈谷の車体工場木工場で木製のものが製作され、EA型小型乗用車10台の試作車が完成した。
また、東京芝浦工場では、EA型をリアエンジン・リアドライブ(RR)方式に改造したEB型小型乗用車を開発し、刈谷の電装工場では、EA型のシャシーを利用したEC型電気自動車の試作を行った。EA型小型乗用車の仕様は、表1-9のとおりである。
表1-9 E型エンジンとEA型小型乗用車の仕様(1940年)
項目
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内容
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エンジン
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型式
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2ストローク、2気筒
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ボア
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74mm
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ストローク
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68mm
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排気量
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584cc
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最高出力
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18HP/3,200r.p.m.
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ホイール・ベース
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2,610mm
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全長
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3,220mm
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全幅
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1,300mm
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車両重量
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650kg
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- (出典)
- 「トヨタ自動車製造計画車両一覧表」(当社内文書)
なお、小型乗用車の製造は、1938年8月4日の商工省通達により禁止されていたため、これらの開発は試作段階で終わった。1