第2節 新経営体制の発足

第1項 「もっといいクルマをつくろうよ」

トップ人事の内定

2009(平成21年)年3月期決算での大幅赤字が避けられない危機的状況のなか、トヨタは、2009年1月20日に新たな経営トップ層の人事を発表した。豊田章男副社長が社長に、渡辺捷昭社長は副会長に就任するトップ交代であった。なお、張富士夫会長と岡本一雄副会長は留任し、6月下旬の株主総会後に新体制が正式発足することになった。

張会長、渡辺社長、豊田副社長は、同日の内定発表後に東京本社で記者会見を開いた。張会長は豊田副社長の社長昇格について、「こうした激動期には『お客様第一』『現地現物』という創業の原点に立ち帰るとともに、大胆な改革を進めることが重要である。国内外での幅広い分野での経験に加え新しい視点と若々しい考え方をもっており、激動期の社長に最適と確信している」と説明した。

豊田副社長は、「100年に一度とも言われる未曾有の難局のなか、トヨタの舵取りという大きな役目を担う責任をひしひしと感じている」と述べたうえで、「大きな視点をもって大胆な改革に取り組みたい」と決意を表明した。自らの社長像については、創業の原点に回帰するためにも「あえて言えば、現場に一番近い社長でありたい」と語った。

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