NUMMI、F1からの撤退

こうした新たな施策を打ち出す一方で、いくつかの場面では、苦渋の選択も余儀なくされた。

2009(平成21)年8月にはゼネラル・モーターズ(GM)社との合弁会社ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング(NUMMI)での生産を2010年3月末で打ち切ることを決定した。経営再建に踏み出したGM社がNUMMIからの撤退を決め、トヨタ単独での事業継続は困難との判断に至ったためであった。同年4月1日の生産終了後、豊田章男社長はNUMMIを訪れ、最後の1台まで品質と生産性を落とさず、心を込めてつくり込みに取り組んだ同社従業員に謝辞を述べた。NUMMIは、トヨタとGM社の産業協力のシンボルでもあり、その活動を後世に伝えることを目的に、1984(昭和59)年の生産開始1号車であるGM社のシボレー・ノバと、最後の1台となったカローラをトヨタ博物館で保存することとした。

2009年11月には、モータースポーツの頂点であるF1参戦から同年限りで撤退することを決めた。2002年にトヨタの単独チームでF1に参戦して以来、8シーズンで優勝はなかったものの表彰台13回、入賞87回の成績を収め、ブランド認知度の向上や技術開発、人材育成などでさまざまな成果をもたらした。こうしたF1で得た経験は市販スポーツ車の開発にもフィードバックされている。

このページの先頭へ