第2節 欧州事業の自立化

第1項 市場の停滞と販売強化策の推進

販売・サービス体制の拡充

欧州市場では、販売統括会社のトヨタ・モーター・マーケティング・ヨーロッパ(TMME)が販売強化策の展開にあたった。1990年代には西欧各国の主要ディストリビューターへの資本参加や出資増により子会社化を進め、中・東欧地域にも相次いでディストリビューターを新設した。販売支援策としては、サービストレーニングセンター(1990年)や欧州パーツセンター(1993年)などを設立し、サービス体制の拡充を図った。

マーケティング手法についても検討を重ね、1998(平成10)年には欧州の主要メーカーがショールームを構えるパリのシャンゼリゼ通りにTMME直営のショールーム「ランデブー・トヨタ」を開設した。また、2001年以降、各国ディストリビューターの部品倉庫をTMMEの直営とし、部品物流拠点の統廃合も進めた。これにより部品業務から解放されたディストリビューターがマーケティング活動に専念できるよう支援した。

2000年以降、自動車市場が中欧から東欧・旧ソ連地域へと拡大するのに対応し、2001年にロシア、2004年にはウクライナと相次いでディストリビューターを新設した。ポーランドとチェコは、のちに生産拠点国となったため、ディストリビューターをそれぞれ2000年と2005年に完全子会社とした。また、2007年にはトヨタルーマニアをトヨタエラス(ギリシャのディストリビューター)から独立させ、バルカン地域統括ディストリビューターとするなど、販売体制の拡充に努めた。旧ソ連でも、2008年のトヨタ・モーター・ロシア(TMR)の新社屋建設を機に、それまでTMR傘下にあったカザフスタントヨタをディストリビューターとした。

なお、2001年の部品業務の直営化を機に、従来「ディストリビューター」と呼んでいた販売代理店を、主体的・戦略的な販売・マーケティングも積極的に行う会社という意を込めて、NMSC(National Marketing & Sales Companies)とした。

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