第1節 元町工場の建設とTQCの導入

第8項 労使宣言の調印

第1部第2章で述べたように、1950(昭和25)年の労働争議は労使間の信頼関係の大切さを大きな教訓として残した。その後、1950年代半ばを境に、トヨタの労使関係は労使の話し合いによって問題の解決を見出すという不文律を確立していった。

1962年2月、トヨタ自工はトヨタ自動車労働組合との間で「労使宣言」を調印した。労使の話し合いによって問題の解決をはかるという労使相互の信頼関係を確認したもので、目前に迫った貿易自由化と企業間競争の激化という難局を労使一丸となって乗り越え、「世界のトヨタ」への飛躍を期そうとする思いから具体化したものだった。

この労使宣言では、労使の相互信頼と生産性の向上を通じ、企業の繁栄と労働条件の維持改善をはかるという労働理念に徹することがお互いに確認された。トヨタの労使はその後も、労使宣言締結20周年の1982年、締結50周年の2012(平成24)年などに、労使宣言の基本精神に基づき、労使の信頼の絆を一層強固にしてこれからの難局に立ち向うことを再確認している。

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