第1節 多様な車種開発と国内販売の拡充
第4項 200万台体制への挑戦
販売店での情報システム化の進展
販売店の経営効率化を支援する活動も強化された。自販では1980(昭和55)年1月に、「1980年代の販売店の経営革新にチャレンジする」という意味を込めた「C80委員会」を設置し、翌年からオフィスコンピューターを活用した販売店業務の統一システム「C80」の開発を始めた。営業所のサービス部門業務から着手し、整備料金の自動計算や請求書の作成、サービスカルテなどをシステム化した。さらに、車両営業担当者の支援ツールとして簡易見積もりなどもシステムに加えた。
こうしてC80は、1982年5月からモデル店2社で試行を実施したうえで1983年2月にC80推進室を設置し、全国販売店への本格導入に踏み切った。その後、新車在庫管理システムなどの機能も追加し、1985年末には200社を超える販売店が導入するに至った。C80の初期開発から10年を経た1991(平成3)年にはバージョンアップした「C90」の開発に着手し、1992年半ばから展開を始めた。
一方、1983年には乗用車の新車時の車検期間が2年から3年に延長され、移行期には販売店のサービス部門への影響が必至となった。当時、販売店のサービス工場では自動車のエレクトロニクス化に対処するため、「テクノラボ(TECNO LABO)」の展開を開始していた。テクノラボは、計測診断器などの新鋭設備を導入し、トヨタ販売店サービスの高度な技術力をアピールするものであり、1985年から影響が出始めた車検延長による入庫減のカバーにも寄与した。また、1986年4月にはトヨタ車の信頼性向上や3年車検に対応し、エンジンなどの主要部品に適用される特別保証の期間を「2年間または5万km」から「3年間または6万km」に延長した。
サービスの質を高めるうえで欠かせない補給部品の流通体制についても、1987年8月に念願であった全国共販店網が完成した。共販会社はトヨタとトヨタ販売店を結ぶ流通企業であり、補給部品ならびに用品の迅速な供給に欠かせない存在となった。1988年からは、オンライン情報システムを使った共販会社からトヨタへのデイリー・オーダー化も開始した。