第2節 環境・安全問題への対応
第4項 車両安全への取り組み
衝突安全ボデーの採用
衝突安全技術については、車体設計の見直しからもアプローチした。開発された技術は、GOA(Global Outstanding Assessment)の愛称で呼ばれ、1995(平成7)年12月発表のスターレットから採用した。GOAは世界トップレベルの安全性能を追求する社内目標性能を意味し、衝突時のエネルギーを効果的に分散させるアンダーボデー骨格と強固なキャビンにより、キャビンの変形を最小限に抑制して乗員保護性能を高めた。
GOAの開発にあたっては、当時としては珍しかった車両同士を真正面ではなく、少しずらした位置で正面衝突させる「オフセット衝突試験」も行った。実際に起こりうる事故を想定した「実安全」を追求するためであり、その思想はトヨタの安全技術のベースとなっている。
GOA採用車種の発売を機に、「GOAください」というテレビCMなど安全訴求キャンペーンを展開した。この試みはお客様の共感を得ることができ、販売実績にも現れた。またGOAにならい、自社の安全ボデーに愛称を付ける動きが業界内で一気に広まった。GOAはその後、さまざまな評価方法を追加し、重い車両と軽い車両が衝突した際の相互のダメージを軽減するコンパティビリティ性能や、歩行者保護性能などの面で進化を遂げている。