第1節 北米市場でのプレゼンスの高まり

第1項 北米市場の拡大

世界金融危機による市場の低迷

2006(平成18)年に表面化したサブプライムローン問題を契機に、米国の景気は後退局面に入った。翌2008年9月には大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界経済は深刻な事態を迎えた。

一方でガソリン価格は急騰を続けており、米国の経済情勢悪化と相まって、トラック系から低燃費小型車へのシフトを急加速させた。これに伴い、ビッグスリーの屋台骨であったトラック系の需要は激しく落ち込み、米国の自動車市場は、2008年には前年を18%下回る1,324万台へと縮小した。

米国政府は需要を喚起するために2009年7月から廃車を伴う販売刺激策であるスクラップインセンティブを導入し、弱いながらも市場は回復基調へと向かった。2010年に入ると、米国経済は緩やかながら回復基調となった。2009年に1,043万台に落ち込んだ自動車市場は1,000万台割れの危機的状況から脱し、トラック系の盛り返しも顕著となり、2010年には1,159万台まで戻った。

トヨタ車の販売は、スクラップインセンティブの追い風を受けるとともに、トヨタ・ファイナンシャル・サービシズ(TFS)のサポートによる特別残価設定プログラムなどの販売促進策が功を奏し、コアモデルを中心に堅調に推移した。2009年にはブランド別販売(トヨタブランド)で3年連続1位、レクサスがラグジュアリーブランドで10年連続1位、カローラとカムリが乗用車セグメントで1位と2位を占めたほか、ノンフリート(個人向け)販売でも初めてシェア1位を獲得した。

カナダの自動車市場でも、ガソリン価格上昇による低燃費小型車の需要増加が生じたが、米国発の金融危機の影響で需要全体が縮小した。しかし、2009年にはカナダ政府の景気刺激策により、自動車市場は150万台レベルへと回復した。

このページの先頭へ