「B-zeroプロジェクト」のスタート―PSAとの合弁事業

1990年代末、自動車業界ではダイムラー・クライスラー社の誕生に代表される世界的な合従連衡が進んだ。トヨタでも1999(平成11)年に「グローバル戦略検討委員会」を設置し、さまざまな企業との協業の可能性を模索した。他方、欧州連合(EU)のCO2規制の強化に対応するため、欧州の主要メーカーが「Bセグメント」(ヤリス級)以下の世界戦略車を新たに投入する動きを見せ、トヨタも同市場への参入を検討していた。

こうしたなか、トヨタはPSAプジョー・シトロエン(PSA)から協業の申し出を受け、いわゆるBセグメント以下の市場をねらいとする「B-zeroプロジェクト」をスタートさせた。

B-zeroプロジェクトでは、PSAとの協業ということもあり、従来のトヨタの方法にこだわらないさまざまな取り組みが行われた。例えば、共同開発車両にはPSAとの共通部品の採用や新たな車両企画や性能基準を大胆に採用した。また、調達面では約7割の仕入先が欧州系で、そのうち中・東欧が8割を占めるなか、欧州メーカーの調達方法についても多くを学ぶことができた。

当社が担当する生産ラインでは、B-zeroに特化したシンプルかつスリムな工程を目指し、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)よりもスペース・工程数・ライン長などをさらに10~20%削減した。こうして、2005年2月にトヨタ・プジョー・シトロエン・オートモービル・チェコ(TPCA)は、トヨタ向けのアイゴのほか、プジョー107、シトロエンC1の生産を開始した。

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