第7節 グローバリゼーションを支えた各機能

第1項 再編のうねりと意識改革の推進

「BT2」活動の展開を提唱

21世紀は、企業グループ間の大競争で幕を開けた。トヨタではこの厳しい競争に対応するべく、次項で詳述するように、2000(平成12)年7月から原価低減活動「CCC21」(Construction of Cost Competitiveness 21)に着手していたが、奥田碩会長は2001年の年頭あいさつにおいて次のような主旨で、「打倒トヨタ」を訴えた。

「一人ひとりが起業家、経営者の視点に立ち『打倒トヨタ』の発想で改革に着手してほしい。最大の敵は『内なる慢心』である。変革のチャンス、ニーズを見逃してはいけない。加えて、変革するのは自分という意識を常にもってほしい」

1990年代半ば以降の海外展開や米国市場の拡大により、トヨタの業績は右肩上がりに伸長していた。この訴えは、こうした好業績による慢心から、改革が停滞することへの強い危機感によるものだった。

風土・マネジメントまでを含めた自己改革が待ったなしとの認識のもと、2002年から通称「BT2」活動をスタートさせた。BT2は、「BREAK THROUGH TOYOTA(打倒トヨタ)」の頭文字を取ったもので、担当副社長をリーダー、経営企画部と調査部を事務局として、2年間にわたり活動を展開した。

活動を開始するにあたり、各機能の企画部長をメンバーに、まず競合メーカーとの比較を徹底して行うベンチマーク活動を実施し、課題の洗い出しやテーマの検討を進めた。その結果、「魅力ある商品を生み出す仕組みづくり」「商品決定プロセスの改革」「内製競争力の強化」「固定費改革」をテーマに決めた。BT2活動は、会社方針における重点プロジェクトとして位置づけられた。

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