第7節 グローバリゼーションを支えた各機能

第3項 モノづくりのさらなる改善

開発プロセスの改革―BR-AD

2001(平成13)年1月には「ITの活用による新しい自動車開発手法の構築」を目指し、技術、生産技術、生産、調達、情報などの各部門による全社横断の「BR(Business Reform)」活動として、「BR-AD(Advanced Development)」がスタートした。この取り組みは、デジタル・エンジニアリングの徹底活用などにより、全体の開発期間を短縮し、そこから生じる余力を商品企画やデザインなど、先行開発段階に振り向けるという考え方であった。品質の向上や開発・製造コストの低減はもとより、魅力ある商品をよりタイムリーに投入することを目指した。

また、開発プロセスをスリム化するため、各種の文書などに散在しているモノづくりの経験則や知恵を集約し、「設計テンプレート(ひな型)」として形式知に置き換える仕組みもつくった。BR-ADによる開発は、2003年からシエンタでトライアルを行い、次いでマークXへと適用を拡大していった。

これらの施策により、当時は新モデル開発が増加した時期であったが、デザインの選択から量産化に至るまでの開発期間は顕著に短縮された。その一方で、デジタルデータの活用などによる効率化の弊害として、人材育成面での課題も顕在化した。このため、図面と現物の並行検討を行うなど、OJT環境の改善といった人材育成面の業務改革も強化していった。

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