第6節 新たな成長を目指して

第4項 新しい歴史に向けて

「Never Give Up」精神

2012(平成24)年が明け、トヨタはこの年のグローバル販売計画を前年比21%増の858万台と定めた。ダイハツ工業(85万台)、日野自動車工業(15万台)を含むグループでは同21%増の958万台とし、トヨタ単体、グループとも過去最高だった2007年を上回る規模のクルマをお客様へお届けできるよう、チャレンジに踏み出した。

社内向けの年頭あいさつで豊田章男社長は、東日本大震災などの自然災害や行き過ぎた円高による苦難と試練の2011年に「世界中のトヨタの仲間が、誰一人の例外もなく、気持ちを折らずに困難に立ち向かっていただいた」と謝意を表した。また、2008年の世界的な金融危機以降、「苦難の連続を、屈することなく乗り越え続けていることは、トヨタの底力、『Never Give Up』精神の証」と指摘した。

厳しい日々が続くなかでも2011年は「いいクルマづくり」や、同年策定のトヨタグローバルビジョンで示した「地域主導」の展開、さらに「経営のスピードアップ」などで、「トヨタが変わりつつあるという手ごたえを、徐々に実感しています」と、述べた。いいクルマづくりに関しては、「『品質問題を決して風化させない』ということも、もう一度お願いしておきたい」と、要請した。

そのうえで、2012年が会社創立75周年、労使宣言50周年、工販合併30周年という区切りの年にあたることから「この節目の年を、なんとしてもトヨタの新しい歴史に向けて一歩を踏み出す年にしたい」と呼びかけた。終わりに豊田社長は、伊勢神宮の参道に茂る木々の枝が曲がりくねって伸びているのは、枝がわずかに洩れる光を求めたからで、そうした木々は伊勢湾台風などの試練も乗り越えてきた、とのエピソードを紹介し、「今のトヨタは厳しい中ではありますが、光の見える方角はわかってきたと思います。今年はぜひ、光の方向に一歩一歩あゆみを進め、私たちのこの手で光を掴み取りたい」と、決意表明した。

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