第6節 国内市場での開発・販売強化

第1項 国内自動車市場の構造変化

自動車市場の変化

軽自動車を除く登録車市場は、1999(平成11)年に約399万台と、14年ぶりに400万台を下回り、以後2005年までは400万台規模で推移した。新規需要は大きく望めず、過去に蓄積された保有車両の代替需要が80%前後という状況が続いた。自動車の品質向上、走行距離の減少、さらに新型車の商品力向上不足もあって、保有車両の使用年数が長期化する傾向が定着したことも、市場の拡大を抑制する要因となった。登録乗用車の場合、2001年に平均使用年数が10年を突破し、2007年には11.66年にまで延びた。

登録車が低迷する一方で、1990年代末から軽自動車が躍進した。税負担など維持費の安さに加え、1998年10月に全長で10cm、全幅で8cmを拡大する新規格が採用されたことで、居住空間など商品の魅力が増したからである。軽自動車の新車需要は1999年に180万台ラインに乗ったあと、徐々に増加し始め、2005年に190万台、2006年には200万台を突破した。軽自動車需要の拡大は、自動車市場でのデフレ現象を象徴するとともに、徹底した実用重視という価値観の広がりをも示していた。

1990年代後半には携帯電話やパソコンといったIT機器が普及して新たな消費支出が生まれ、とりわけ若年層が自動車に距離を置く一因となった。また、1990年代末から2000年代初頭にかけては、長期不況により企業が採用を抑制したため、「就職氷河期」と呼ばれる社会問題が発生した。正規雇用に就けない若年層の増大は、購買力の面からもクルマ離れの現象を起こしていった。

1990年代半ばから40%を割り込む状態が続いていたトヨタ車のシェアは、商品強化策の展開などにより、1999年には41.7%と4年ぶりに40%台に回復した。その後も、2000年に43.2%、2004年には44.4%を記録するなど、着実にシェアを伸ばした。ただし、登録車市場が400万台レベルと横ばいで推移したため、トヨタ車の販売台数自体は170万台規模で頭打ちとなった。

このページの先頭へ