第7節 グローバリゼーションを支えた各機能

第2項 原価低減と品質確保

品質活動の推進

「BT2(BREAK THROUGH TOYOTA)」活動のベンチマーク調査では、品質面での課題も明らかになった。

品質活動については、2001(平成13)年にBR(Business Reform)手法によるBR-MB室を設置し、取り組みを強化していた。MBとは未然防止の略で、同室が課題としたのは、品質に問題のある製品を市場に出さない仕組みづくりであった。このBR-MB室は、2002年には常設のMB推進室とし、トヨタ社内だけでなく、仕入先とも取り組みを強化する活動へと発展させていった。

しかし、これらの取り組みも、2000年代前半には生産量の急拡大などに追いつかない状況であった。こうした事態に全社あげて対処するため、2005年4月には張富士夫社長を委員長とする「CF(Customer First)活動推進委員会」を発足させた。張社長は、「品質はトヨタの生命線」と訴えるメッセージを全社員に向けて発信し、「お客様第一」の視点に立った「品質意識および職場力向上」への取り組みを要請した。

このCF活動では、品質向上の観点から、「全プロセスを通じて保証される仕事のしくみづくり」にも取り組み、2007年1月には品質保証本部内にBR自工程完結推進室を設置した。同室のもと、「品質は工程で造り込む」、すなわち「自工程完結」というトヨタの基本的な考え方を全社で再認識し、徹底する取り組みが開始された。この取り組みは、従来の生産現場や技術部門などにとどまらず、仕事の質を高める業務改善として、事務部門を含むあらゆる職場を巻き込み、仕入先にも取り組みの輪を広げていった。

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